才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER
開幕延期が長引くメジャーリーグで
田中将大が投球に懸けていた想い。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/04/15 11:00
結果を残せば称賛されるわけだから。
(ゲリット・)コールが移籍してきたのも、僕にとってはプラスだと思っています(ヒューストン・アストロズから投手史上最高額の約354億円でヤンキースに移籍)。あれだけの選手の登板間の調整の仕方や、ブルペンでの投球練習、いろいろな考え方に、チームメイトだからこその距離で触れることができるんですから。僕だけじゃなく、みんなにとってもいい刺激になっているし、戦力の底上げというだけじゃない、プラスアルファの良い要素があります。
だから、今シーズンのチームのエースはコールでしょう。チーム内での僕の立場も微妙に変わるかもしれない。シーズンが始まったら、何かを感じることもあるかもしれない。
だけどやっていくことは変わらない。マウンドに上がったら、チームを勝たせるために投手がやることは一緒です。2番手だろうと、3番手だろうと、何番手であろうと関係ない。
結果を残せば称賛されるわけだから、ゴタゴタ言っている暇があるなら仕事せえ、甘ったれるな、やるしかないってことです(笑)。
どうにか抑えていく術を見つけて。
大切なのは、自分なりに起こりうることをいろいろ想定して、ベストな準備をすること。そこまでやったうえで、良い答えが返ってこなかったとしたら、しょうがない。じゃあ次に成功するためにはどうすればいいか考えて、対処して、前に進んでいかなきゃいけない。ずっとその繰り返しですよ。これまで失敗したこと、めちゃくちゃ悔しかったこともありましたけど、全ては完全に過去のこと。常に前に進むしかないんです。
例えば、昨今、打者有利としか思えないルール変更ばかりされていて、投手としてはしんどいなと思いますよ。試合時間短縮のためにルール改定されたのに、一方でボールが飛ぶようになったのか、ホームランが増えて乱打戦になったり……。投手が蔑ろにされているように感じるときもあります。でもね、だから仕方ないということにはならないですよね。
どんなシーズンでも、どんな試合でも、どうにか抑えていく術を見つけて、打者を上回る投球を僕はするだけです。
田中 将大Masahiro Tanaka
1988年11月1日、兵庫県生まれ。駒大苫小牧高2年夏の甲子園、優勝を決めた1球は2年生として史上初の150kmを記録。3年夏は決勝再試合の末、早稲田実業高に敗れ準優勝。2007年ドラフト1位で東北楽天ゴールデンイーグルスに入団。'13年はシーズン24連勝無敗で球団史上初の日本一に。'14年よりニューヨーク・ヤンキースに移籍。昨年までに日本人投手初となる6年連続でメジャーリーグ二桁勝利を達成し、現役日本人では最多の日米通算174勝。
ナビゲーターの俳優・田辺誠一さんがアスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。
第103回:田中将大(野球)
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