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興梠慎三の“お得意様”が特異な件。
仙台相手に20戦18発。では天敵は?
posted2020/04/12 11:40
text by
斎藤純Jun Saito
photograph by
Getty Images
スポーツ報道においてよく使われるフレーズで、「キラー」という言葉がある。
特定の相手に対して結果を残している選手に用いられるもので、サッカーにおいては決まった相手からよくゴールを奪う選手を称える意味で使われている。
「ウチのこの選手はあのクラブ相手だとよく決める」だとか、「ウチのクラブはいつもアイツにやられる」だとか。長年応援しているファン・サポーターの方にとっては、スターティングメンバーに名前があるだけでも気になってしまうだろう。
ではJ1通算得点ランキングで上位に名を連ねるストライカーたちに、固有の「お得意様」は存在するのか? 対戦相手別のゴール数を調べていくと、ある選手の特殊性が目を引いた。
通算得点数1位・185得点の大久保嘉人でも、同2位(161得点)の佐藤寿人でもない。
通算148得点で6位に位置する、浦和レッズの興梠慎三だ。
通算148ゴールは歴代2位と13点差。
鹿島アントラーズで2005年にプロキャリアをスタートさせた興梠はルーキーイヤーから試合に絡み、2007~09年のJ1リーグ戦3連覇に貢献。2013年に浦和へ移籍した後は、柔らかなポストプレーと質の高い動き出しを武器に攻撃陣を牽引している。
通算成績は410試合出場148得点。昨季はJ1新記録となる8年連続の2桁得点を達成し、今季の第1節・湘南戦でも1ゴールを挙げ、浦和での通算100ゴールに王手をかけている。
現在6位のJ1通算得点数を見ると、2位の佐藤と13点差。今後の成績次第では一気にランキングを駆け上がっていく可能性が十分にある。
また、これまでの総シュート数は608。大久保(1108本・448試合出場)や佐藤(717本・404試合出場)と比べても少ない。これもまた卓越した決定力を裏付ける。
そんな興梠の対戦相手別成績を見てみると。以下の通りとなる。カッコ内の数字は出場試合数だ。
18得点:仙台(20)
11得点:FC東京(24)、清水(24)
10得点:広島(23)
9得点:神戸(24)
8得点:川崎F(22)
7得点:新潟(20)
6得点:湘南(11)、C大阪(16)、名古屋(19)、柏(20)、大宮(21)
5得点:磐田(19)、G大阪(20)
4得点:鹿島(13)、鳥栖(14)
3得点:福岡(4)、浦和(12)、横浜FM(24)
2得点:松本(3)、千葉(6)、京都(6)、山形(7)、札幌(9)、甲府(11)、大分(11)
1得点:東京V(1)、横浜FC(2)、徳島(2)
0得点:長崎(1)
V・ファーレン長崎を除き、興梠はこれまで対戦した全てのチームから得点を奪っている。その中で明らかに突出しているもの。それがベガルタ仙台相手の20試合18得点だ。