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朝乃山の大関昇進は大阪で……。
元朝潮・高砂親方、3度目の涙。

posted2020/03/31 11:30

 
朝乃山の大関昇進は大阪で……。元朝潮・高砂親方、3度目の涙。<Number Web> photograph by Kyodo News

自身と縁深い大阪の地で、愛弟子の朝乃山の大関昇進の伝達を受ける高砂親方。

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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Kyodo News

 大ちゃんの目に涙――。

 高砂親方の3度目の涙を見たのは、無観客開催場所となった大阪場所の、千秋楽パーティでのことだ。

 新型コロナウイルス対策で、各相撲部屋がパーティを自粛、規模を縮小した内輪での懇親会の形をとるなか、高砂部屋も大阪市内のホテルで、参加客を通常の3分の1に減らし、着席する各テーブルの間隔を充分に取るなど、出来うる限りの対策を取って開催にこぎ着けた。

「今日、弟子の朝乃山が、この大阪で大関昇進を決めてくれました。本当によく頑張ってくれた。私の第二の故郷でもある大阪は、初優勝し、大関に昇進した縁の深いところです。

 高砂部屋の師匠として大阪の地を踏むのは今日が最後となりますが、新型コロナウイルス問題が騒がれており、時節柄、不安もあるなか、こんなに大勢の方々に集まっていただき――」

  声を詰まらせ、その細い目にみるみる涙が溢れる。

縁の深い大阪での最後の場所だったが……。

 近畿大学卒業で、夫人も生粋の大阪育ちだ。

 現役時代は“大ちゃん”の愛称で親しまれた朝潮は、初土俵も初優勝も大関昇進も、すべてが大阪の、通称“大阪太郎”。今年12月の誕生日で65歳の停年退職を迎え、今回が最後の大阪場所となる。

 人一倍思い入れのある浪速の地で、感謝と別れの挨拶を兼ねたパーティでもあったのだ。

 通常の立食形式であったならば、朝乃山の大関昇進もあり、押すな押すなの大盛況だったはず。無観客開催の緊張感ある15日間を無事終え、大阪という土地への郷愁、愛弟子の慶事。いろいろな想いが交錯し、感極まったゆえの“3度目の涙”だった。1度目、2度目の涙は――。

【次ページ】 弟子に涙し、弟子に励まされてきた親方。

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