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西武期待のルーキー左腕・浜屋将太。
社会人野球で磨いた礼儀と武器。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2020/03/19 08:00
最速148kmの直球とスライダーが武器。昨年の仮契約の際には「先発なら2桁勝利、中継ぎなら50登板」と目標を掲げていた。
プロでは期待されることが違う。
今春は、ドラフト1位の投手・宮川哲、ドラフト5位の捕手・柘植世那とともにA班スタートとなった。松坂大輔を筆頭に高橋光成や今井達也など一軍経験のある投手と並んでブルペンに立った。
「周囲の先輩を見て勉強しました。とにかく、みんなすごい球を投げているし、一球一球への意識が違う。キャンプでは調整という感覚ではなくて、100%自分の力を出し切ることを目標にしてきました。最初はまず、どれくらい自分のボールがプロで通用するのかわからないので、全力で行きました」
その結果、紅白戦で結果を残し、オープン戦も一軍帯同を勝ち取った。
「やっぱり先発はしたいんですけど、左打者に対してどう投げられるかというところをアピールしていかなければと思っています。社会人時代は特に左打者が得意とか、そういう感覚はなかったんですけど、プロでは期待されることが違いますから。先発で投げるのか、中継ぎなのかわからないですけど、僕が求められるのは左打者を抑えることだと思っています」
キャンプ地で見た岸と涌井。
3週間以上の延期が決まったとはいえ、この分で行けば開幕一軍も視野に入ってきた。西口文也投手コーチは語る。
「物おじせず打者に向かって行けるところがいいですね。マウンドでの様子を見ると、たとえヒットを打たれてもマイペースに投げられるんじゃないかと思っています。先発、中継ぎ、両方できるタイプ。先発になっても長いイニングを投げる体力はあるし、度胸もある。このあとの練習試合で長いイニングを投げて、試す予定もありますよ」
左腕の先発候補が不在で、なおかつ先シーズン、中継ぎとして活躍した小川龍也はB班で調整中だ。そんな現時点のライオンズにとって、先発も中継ぎもできる浜屋の存在は大きい。
幼いころは出身地の鹿児島県大崎町から車で2時間かけ、ライオンズのキャンプ地を何度も訪れていたと振り返る。
「岸(孝之)選手と涌井(秀章)選手(現在はともに楽天)がエースで投げていたときで、紅白戦でお2人が投げるのを見て『すごいなぁ』って思った記憶があります」
少年時代、スタンドから見つめていたユニホームを着て、自分がマウンドに立つ日は近いはずだ。