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<ロッテ加入決定・再録記事>
鳥谷敬の実像は早大時代から不変。
いつもいる、というのは尊いことだ。 

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byKyodo News

posted2020/03/10 13:30

<ロッテ加入決定・再録記事>鳥谷敬の実像は早大時代から不変。いつもいる、というのは尊いことだ。<Number Web> photograph by Kyodo News

2000本安打を達成した当時の鳥谷。2017年は“同窓”の青木も日米通算2000本安打を達成している。

顔面死球を浴びても翌日には出場する強靭さ。

 いつもいる……というのは、貴いことだ。

 いつも元気で“職場”にやってくる。仲間として、こんなに頼りになることはほかにない。

 野球という激しいスポーツの中で、遊撃手という心身の負担と消耗の激しいポジションをつとめ、しかも中心打者として奮戦する。

 痛くないわけがない。疲れていないわけがない。

 それでも、毎日グラウンドへやって来て、元気なふりを装って、ちゃんと普通に結果を出して帰っていく。

 阪神7年目の2010年、打球を追ってマット・マートン外野手と衝突。腰椎骨折という重傷を負ったのに、途中出場で試合に出続け、今年も5月に顔面に死球を食らって、もうダメか……と目をおおった時も、翌日、アメリカンフットボールのようなフェイスガードをかぶって代打に出てきた。正直なところ、“正気なのか……?”と妙な心配をしたものだった。

 心身の強靭さ。

 そういって称賛するよりも、むしろ彼にとっては、身辺に何が起ころうと、野球のある日はそこへ出向いて、野球をすることが“日常”なのかもしれない。

大学時代、青木と鳥谷の打撃のスカウト評は?

 抜群の野球センスに、コンスタントな学生野球での実績。それに、強靭な心身まで兼備していたのだから、ドラフトの「自由競争」では阪神以外に、巨人、横浜(現DeNA)、西武……に、確かダイエー(現ソフトバンク)も追いかけたはずだ。

 そんな中で、プロ側のこんな評価を耳にしたことがあった。

「青木は140キロ台を難なく弾き返すが、鳥谷がジャストミートできるのは130キロ後半まで。プロではきびしいと思う」

 そう言われてみると確かに、快速球を鋭い体の回転でパチン! と弾き返すスピード感では、青木のほうが光って見えていた。

 鳥谷敬のほうは……というと、速いボールにはインパクトで押されがちでも、変化球も含めて、相手投手の失投を逃さずヒットにできる“野球カン”の鋭さを感じたりもしていたものだ。

【次ページ】 中肉中背の遊撃手の、さりげない底力。

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