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錦織圭復帰戦が無観客、IMGは……。
新型コロナ禍に直面するテニス界。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2020/02/28 11:00
デビス・カップ予選の会場となる兵庫のブルボン・ビーンズドームだが、無観客での開催となった。
中国のデ杯チームは不戦敗の扱い。
実際、中国のデビスカップ・チームは国外に出ることが許されず、来月6日と7日にルーマニアで戦うはずだったプレーオフ・ラウンドを棄権。ITFの決定ではなく中国側の判断なので、延期や第三国での開催は検討されず、不戦敗の扱いとなった。
そのことは、ワンやジャンの「中国には帰らない」という決断の材料になっている。ワンはあとひと踏ん張りで、グランドスラムの本戦ダイレクトインの目安となる100位に届く。ケガも病気もしていないのに、この大事な時期を棒に振るのは辛すぎる。
もちろん、中国国内に数多く作られたITFサーキットも次々と中止になっているので、国内でポイントを稼ぐ手だてはない。
やむをえないとあきらめながらも、「家族に会えないのが寂しい」と少しおどけて涙を拭う仕草をし、「でも、日本にいると少しなぐさめられます。みんな親切だし、中国の人たちとほとんど同じ顔をしているので、なんとなくほっとするところもあります(笑)」と話した。
ジャンも、「この時期に日本で大会があるのがうれしい」と言っていたが、その日本も状況は急速に悪化している。
錦織の復帰戦が無観客になる皮肉。
来月6日と7日に兵庫のブルボン・ビーンズドームで開催されるデビスカップ予選は、いわゆる<無観客>で行なわれることが正式に発表された。
昨年の9月以降、右肘の故障で休養している錦織圭のメンバー入りがほぼ同時に発表されたのは、なんとも皮肉だ。年初めから好調の西岡良仁も先週のデルレービーチで準優勝し、ランキングを自己最高の48位に上げたばかり。
同じ大会のダブルスで準優勝したマクラクラン勉もいる。対戦するエクアドルにスター選手はいないが、チケット完売は当然の日本の布陣。<無観客>という光景が想像し難いのだが、本当に開催するのかどうかは、最近の状況変化のスピードを見る限り、まだ疑っていたほうがいいのかもしれない。