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錦織圭復帰戦が無観客、IMGは……。
新型コロナ禍に直面するテニス界。
posted2020/02/28 11:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
「中国人だけど、怖がらないで。この3週間、中国には帰ってないから!」
先週、京都で開催されたITF女子サーキット大会で予選の受け付けに訪れた際に、そんなことを言った選手がいたという。
新型コロナウイルスのことを言っているのは、今なら誰でもわかる。世界ランキングは500位台と無名のジャン・インという選手だった。
「どこに行っても、人の反応を見るのがちょっと心配で、冗談めかしてそんなことを言いました。このあとも帰らず、とりあえず3月半ばまでは日本の大会に出ます」
23歳のジャンはそう言ってニコッと笑ったが、中国発のこのウイルスの影響は、レベルにかかわらず中国のテニス選手たちのツアー生活を直撃している。
6月頃まで中国に帰国しない予定。
その京都の大会ではシングルスの本戦ドローの中に4人の中国選手がいて、第1シードのワン・シンユーにも話を聞いた。現在世界ランク135位の18歳は、アジアの10代プレーヤーの中ではトップを争う存在だ。
まだ16歳だった2018年の全豪オープンでアジア枠のワイルドカードを勝ち取って本戦出場を果たした。身長185cmの美人プレーヤーだから中国テニス界での期待は大きい。そんなワンはこの先、少なくとも6月頃まで帰国しないつもりだという。
「(2020年の)全豪オープンの予選のあと、3日間だけ帰りました。そのときは、中国国内でも今ほど深刻な状況ではなかったんです。この大会が終わったらまた帰るつもりでしたが、最近の状況を見て、やめました。
このままアメリカに行ってインディアンウェルズとマイアミの予選に出て、そのままヨーロッパのシーズンに入ります。一度帰ってしまうと、もう出られなくなる可能性が高いので」