競馬PRESSBACK NUMBER
快挙と恩返しのフェブラリーS。
モズアスコットと人気薄2着馬の秘話。
posted2020/02/28 08:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
23日、東京競馬場でフェブラリーS(GI、ダート1600メートル)が行われ、モズアスコット(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)が優勝した。
見事、1番人気に応え、今年最初のJRAのGIを制した同馬にはクリストフ・ルメール騎手が騎乗していた。
モズアスコットがダート戦を走ったのはこれがまだ2戦目。デビュー20戦目となった前走の根岸S(GIII)で初めてダート戦に参戦。見事に勝利したことから今回の出走が決まり、優勝してみせた。
芝の安田記念(GI)に続き、ダートでも頂点を極めたのは管理する矢作調教師の手腕が大きい。リスグラシューで制した有馬記念(GI)、コントレイルで勝利したホープフルS(GI)に続きJRAのGI機会3連勝というタイ記録を作った伯楽が、この馬に初めてのGIのタイトルをもたらした時からして、異質の臨戦過程だった。
連闘に続く芝&ダートGI制覇の偉業。
一昨年の2018年、安田記念を勝った時は実に直前の週のオープン特別で2着に負けていながら連闘での挑戦。このような形でGIに挑ませること自体、なかなか無いことだが、それで見事に結果を出したのだから“さすが”という他ない。
そして、芝で挑戦を極めた馬をダート戦に向かわせたことも頭の柔らかさと馬を見る目があればこそ、だろう。前走の根岸S出走時、矢作調教師は「芝のGIホースをダートで使うなんて失敗したら恥をかくからなかなか出来ません。でも、自分は恥をかくことは何とも思わないから走らせました」と語っていたが、この言葉を真に受けてはいけないだろう。その走法や血統的なモノも含め“やれる”と判断していたからこその挑戦だったはずだ。
ちなみに手綱を取ったルメール騎手に今回のレース前、話を聞くと彼は次のように答えた。
「状態は明らかに上向いていると思います。距離がのびるのも良いし、ダートで走る事も分かったので、自信があります」