ゴルフPRESSBACK NUMBER
ミケルソンを取り巻く猜疑心と愛情。
国民的スターに何が起きているのか。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2020/02/27 08:00
ゴルフ界において長らくアメリカの象徴だったミケルソンが50歳。そのキャリアの晩年に注目が集まっている。
50歳で生涯グランドスラム?
とはいえ、彼はそれ以前にも2004年マスターズと2005年全米プロを制し、2006年にもマスターズで勝利を挙げていた。
ウイングドフットで「バカな」敗北を喫した後だって、2010年マスターズと2013年全英オープンを制し、メジャーでは堂々5勝を挙げてきた。
それなのに、彼の惜敗ぶりがなぜ今さら取り沙汰されているかと言えば、今年6月の全米オープンが、彼が頭を抱えて座り込んだあのウイングドフットで開催されるからだ。
ミケルソンは毎年、全米オープン開催ウィークに誕生日を迎える。今年は50歳になる節目の年だ。自身の人生の節目の年に、因縁の地で全米オープンを制することができたら、同時にそれはメジャー4大会すべてを制する生涯グランドスラム達成となり、今度こそ「名場面」となって歴史に残る。
だからこそ、大勢のファンが「今度こそ、頑張れ、フィル!」と祈っている。
それなのに、肝心のミケルソンは、今のところ、今年の全米オープン出場資格を満たしておらず、そんなミケルソンに人々は一層「頑張れ、フィル!」とエールを送っている。
ミケルソンの人気が傾いた理由。
1992年のプロ転向以来、米ツアーで最大の人気を誇り、メジャー5勝を含む通算44勝を挙げてきたミケルソンは、タイガー・ウッズに勝るとも劣らない国民的スターと言って過言ではない。
だが、実を言えば、昨今は、そんなミケルソン人気が少々傾きかけている。
その始まりは、生まれ故郷のカリフォルニア州サンディエゴを離れることを公にした昨秋ごろだった。長年サンディエゴへの地元愛を示し、故郷の人々から熱狂的な応援を得てきたミケルソンだが、あまりにも高いカリフォルニアの州税から解放されたくて、所得税のないフロリダへの引っ越しを決意したという。
ウッズをはじめとする多数の米ツアー選手たちが暮らすジュピターに、すでに新居を建設中だそうだ。「お金のために故郷を捨てるのか?」という陰口が叩かれ始めたことは言うまでもない。