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修行僧のような20歳・西田有志。
日本バレーの次代を担う責任感。
posted2020/02/26 15:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Ichisei Hiramatsu
サウスポーから繰り出す強烈なスパイクとサーブ。昨秋行われたW杯で、チーム最年少の若者は強豪国相手に物怖じしない強気のプレーで、世界を驚かせた。
「練習してきたことが発揮できたことで、プレーヤーとしての成長を肌で感じられましたし、大きな大会で結果を残したことは自信になりました」
W杯ではベストサーバーとベストオポジットにも輝き、ブレイク。石川祐希らとともに28年ぶりとなる4位に大きく貢献した。そのプレーは客観的に見ても及第点以上の出来だった。手応えも掴んだ。しかし、「未熟な部分も多かった」と猛省する。
「選択したスパイクのコースや打ち方がうまくいっても、得点になっていなければ、それはミス。僕はポイントを取ることが求められるポジション。そういった場面では(得点を)取らなければならないし、取り切れる選手こそ一流のエースだと思っています。それに、厳しい局面でも100%に近い高確率で決め切れるという、絶対的な自信がまだ持てていない。大舞台であればあるほど、緊迫した場面でミスを出さないこと、決め切れる強さが重要になってくる」と、一切の妥協を許さない。
勝ちたいからこそストイックに。
代表でも所属チームでも、勝ちたいからこそ、「どれだけストイックに取り組めるか」を大切にしている。アスリートとしての成長はもちろん、日本男子バレー3大会ぶりの出場となる東京五輪で、本気でメダルを狙っているからだ。
「苦しい道を歩んでいかないとそれは見えてこない。苦しくても、それを乗り越えることで、プレーヤーとしても人間としても成長できると信じています」
まるで修行僧のようだと伝えると、「鍛錬ですね。でも、苦ではないです。得られるものが多くあるので」と笑顔を見せる20歳。まだまだ伸びしろは十分だ。
西田有志Yuji Nishida
2000年1月30日、三重県生まれ。海星高時代にU-19代表に選出され、アジアユース選手権大会に出場し、優勝。高3時にジェイテクトSTINGSに高卒内定選手として入団。'18年1月の堺ブレイザーズ戦で公式戦初出場を果たした。同年男子日本代表入り。186cm、82kg。