「天職ですね、まさに」

　2020年、西村はさらにアクションを起こす。

「まず『Make Value Project』を、今年は週2回に増やして、講義→グループ研修→1対1の面談の後に、大谷翔平選手の目標達成シートのようなものを選手が作成させました。それをクラブが管理する。そのために今年から業務委託で新たに2人、面接官と目標達成シートを管理する人材を招聘しました。それを選手評価制度にも組み込んで行こうと思っています。

　他にも『語学を学びたい』という声も出てきたので、じゃあ講師を呼んでクラブとして取り組もうと。ウチのクラブのミッションが『人が育ち、クラブが育ち、街が育つ』。選手や周りから『水戸に行けば、きちんとした人材育成プログラムがあって、いろんなことを教わることができる』と思われるクラブにならないといけない。それが恒常的な強化にも繋がります。我々がやっていることは、決して一過性のものではいけませんから」

　最後に西村に「なぜそこまで精力的にできるのか」と問うてみた。

「僕はサッカー選手という職業が大好きなんです。サッカー選手という職業は誰もがなれるわけではない。貴重で素晴らしいものだからこそ、彼らがそれに気付きながら、サッカーに集中できる環境を作りたい。関わったサッカー選手がより高いレベルに行ってほしいし、より長くやってほしいし、社会で認められる人間になってほしい。常に選手と向き合えて、すぐそばで働けるのが今の職業だからこそ、この職業に誇りと喜びを感じていますし、今自分に与えられた使命だと思っています。天職ですね、まさに」