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ミカエル・ミシェルが川崎に降臨。
初重賞は苦戦、菜七子との再戦は?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2020/02/06 20:00
容姿に注目が集まりがちなミカエル・ミシェルだが、フランスで女性騎手の年間最多勝記録を更新した実力は確かだ。
騎乗馬の下調べは万全だったが……。
午後4時10分、第64回金盃のゲートが開いた。
4番人気に支持されたセンチュリオンは他馬とほぼ横並びのスタートを切った。1周目の3コーナーに差しかかるあたりで好位に取りつき、そのまま先行。2周目の3、4コーナーでミシェルが激しく追って前をかわしにかかる。しかし、外から持ったままのサウンドトゥルー(1着)に一気に来られ、直線で失速。11着に沈んだ。
「ちょっと驚きました。センチュリオンはいつもと正反対のレースをしました。普段はスタートが遅いタイプなのですが、今回は速かった。馬が最初からやる気になっていた。後ろの馬が来る流れになることは予期していませんでした」
テレビカメラ3台、スチールカメラ10台ほどを含む40人ほどの報道陣に囲まれ、ミシェルはそう話した。「いつもと正反対のレース」という言葉に、あらかじめ騎乗馬についてのデータを仕入れておく、彼女の研究熱心さが現れていた。
「日本に来てまだ2週間なのに、こういう大きなレースに乗ることができて嬉しいですし、誇りに思います。こうしてたくさんのメディアに注目されることはありがたいです。ただ、今日は、結果を出すことができなかったので、ちょっと残念です」
「フランスではいつもこういう感じ」
2月3日は大井、4日は高知、そしてこの日の午前中また大井に戻って騎乗というハードスケジュールだが、涼しい顔だ。
「フランスではいつもこういう感じなので、フランスの日常に戻ったようです。まったく疲れていません」
ミシェルが南関東でデビューした日も、この日も、同じレースで手合わせした川島正太郎(千葉県騎手会所属)は、ミシェルの騎乗をこう評する。
「スタートセンスがいいですし、南関東の競馬をよく研究していますね。彼女が川崎でデビューした日などは馬場状態が悪く、ああいうコンディションを嫌がる外国人ジョッキーが多いのに、ガッツがあるなと思いました」