酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
松坂世代の戦いは40歳以降も続く。
5人の現役+コーチ転身の全リスト。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2020/02/05 11:50
40歳のシーズンを古巣・西武で迎える松坂大輔。彼ら松坂世代の戦いは指導者になっても続く。
引退すれば、キャリアは振出し。
昨年は現ソフトバンク一軍打撃兼野手総合コーチの平石が楽天の監督を務めており、引退後の指導者として出世頭と言えた。
なお平石の現役時代は通算37安打。元阪急、日本ハム監督の上田利治の56安打を下回り「現役時代の安打数が最も少ない一軍監督」となった。昨年は見事チームをポストシーズンに進出させたが、楽天を退団し、今季はソフトバンクのコーチになった。
松坂世代のコーチが最も多いのが巨人。二、三軍に5人もいる。巨人のファームでは指導陣の“タメ語”のやり取りが聞こえることだろう。
その一方で現役時代に本塁打王などに輝いた村田修一、沢村賞に輝いた杉内俊哉と、現役21年で516試合出場したものの、ほぼ控え捕手だった實松一成が今は同じ「二軍コーチ」の肩書なのも興味深い。
引退すれば、キャリアは振出しに戻る。ここからは指導力による出世争いが始まるのだ。
長田、江草、大西はNPB以外で。
NPBのコーチ以外にも野球界のいろんなところで松坂世代は活躍している。
筆者はこの1月、西武ライオンズアカデミーの野球教室を取材したが、セットアッパーとして西武、DeNAで活躍した長田秀一郎(1980年5月6日生)が、アカデミーコーチとして中学生を相手にボールの投げ方やベースランニングの仕方を教えていた。
また阪神、西武、広島でリリーフとして活躍した江草仁貴(1980年9月3日生)は一昨年から大阪電気通信大でコーチをしている。学生野球資格の回復をしてアマチュア指導者になる人も増えるだろう。
さらにPL学園時代、夏の甲子園での横浜との延長17回の死闘で、松坂から一時は同点となるタイムリーを打った大西宏明(1980年4月28日生)は、近畿大を出て近鉄、オリックス、横浜、ソフトバンクで外野手として活躍したが、今は関西独立リーグ(2代目)の堺シュライクスで監督を務めている。
このチームの創設時のトライアウトを取材した際のこと。大西監督は、選手たちに「落ちた人たちも、これから僕たちを見返すような活躍をしてほしい」と熱い言葉をかけていた。
「松坂世代、ついに5人」と聞くと寂しい気がするが、セカンドキャリアのレースはまだ始まったばかりだ。彼らの前途に期待したい。