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「火中の栗」と言われても……。
卓球界の偉人がテコンドー協会会長へ。 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byKoji Fuse

posted2020/02/02 09:00

「火中の栗」と言われても……。卓球界の偉人がテコンドー協会会長へ。<Number Web> photograph by Koji Fuse

木村興治氏は元トップアスリートの面影残す情熱家。ちなみに、協会副会長にはBリーグにてクラブの会長職を務める島田慎二氏が就任した。

日本卓球協会の借金返済で辣腕振るう。

 木村には、90年代に1億円弱の赤字があった日本卓球協会の借金を清算したという見事な実績がある。

「資金がなければ、選手強化はできない。資金はなんとか増やしていきます。スポンサー獲得の方法はいろいろあるけど、僕は『スポーツの心』で接触させていただきます。

 卓球協会で働いていた時代には、どこかの企業に昔卓球少年だった人がいるという噂を聞きつけ、『一度卓球の話を聞いていただけませんか?』という資金繰りのための営業をやっていました。いまテコンドー協会の財政事情は苦しいけど、これからスポンサー企業にも理解していただきご支援願いたい。

 まずはテコンドー協会が社会に受け入れられるようなチームワークの下に進んでいると思われるような状況を作ることが第一だと思っています」

「小学生のナショナルチームを作るのは初めて」

 その一方で卓球の時と同様、若手の育成にも力を注ぎたいと考えている。

「2001年に大阪で卓球の世界選手権をやった時に厳しい現実に直面しました。当時は中国が圧倒的に強く、ヨーロッパもまだ強かった。なんとか日本のレベルを世界に近づけていくためには最低でも10年はかかる。そう思った時に小学生のナショナルチームを作ったわけです。

 ありとあらゆる日本のスポーツで、小学生のナショナルチームを作るのは初めてだった。もちろん(世間からは)厳しく評価されるわけですから公平平等性を徹底的に高め、成績上位の人たちを集めて合宿を行なう。そういう大きな流れの中で福原愛が出てきた。彼女が出てきてから日本の卓球界の流れが決まりました。いまの選手たちは愛ちゃんの後ろ姿を見て、ごく自然に卓球をやるようになった」

【次ページ】 「テコンドーのどこが面白いのか。そこを追求」

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