マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
センバツ当確の隠れた逸材投手3人。
大学経由でのドラフト上位タイプ?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2020/01/22 11:30
明治神宮大会で目を引いた白樺学園の片山楽生投手。早熟な才能が増える中で、じっくり伸びる確信を与える選手は貴重だ。
2年でデビュー、4年後に上位指名。
さて、どう育てるか。
最初の1年はトレーニングで体力と柔軟性を養いながら、内野、外野でも練習して、動きのバリエーションを身に付けてもらおう。
とっさにいろいろな動きが瞬時にできることは、牽制、クイック、バックアップ、バント処理に投ゴロ併殺など、実は「投げる」以外にいくつもの仕事を担う投手の必修科目なのだ。
実戦デビューは2年からだ。
リーグ戦、オープン戦合わせて100イニング以上は投げてほしい。
仮に彼がプロに進んだとして、2年目から100イニング以上のチャンスを与えられることはなっかなかない。
投手はブルペンだけでは育たない。選手は例外なく、実戦の中でのみスキルアップするものだ。
3年、4年時には結果もある程度要求するが、あくまでも内容最優先。その日最も確信の持てる球種を前面に押し立てて打者に立ち向かう「攻め」のピッチングさえできていれば、それでよい。
負けたとしても、後に必ずつながっていく。
ザックリと表現して、そんなプロセスで、4年後のドラフト上位指名を現実のものとする。
国士舘と中京大中京にもいい投手が。
話が「育て方」の能書きになってしまったが、そんなプロセスに乗せてみたいと思う投手があと2人。
国士舘・中西健登(186cm70kg・右右)と中京大中京・松島元希(164cm72kg・左左)。
中西投手は、長いリーチが体の回転に巻きついて振られて、リリースの感覚がものすごく繊細に見えるサイドハンド。
内外角の両方に確かなコントロールを持つサイドハンドは、「150キロ」と同じぐらいの稀少価値があるし、片山投手と同様に、とても速く見える速球を投げる。
中京大中京・松島投手は逆の個性を持ち、コントロールは少々アバウトでも、小柄な体に驚くべき高性能エンジンを搭載し、この体で、平気で140キロ台を続けられる。