マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
センバツ当確の隠れた逸材投手3人。
大学経由でのドラフト上位タイプ?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2020/01/22 11:30
明治神宮大会で目を引いた白樺学園の片山楽生投手。早熟な才能が増える中で、じっくり伸びる確信を与える選手は貴重だ。
白樺学園の片山楽生は絶対に伸びる。
北から見ていくと、いきなり北海道の白樺学園で見つけた。
エース・片山楽生(177cm、75kg)、この投手はよくなる。
昨秋の北海道大会では、強豪・東海大札幌を完封したり、試合前半に6点7点奪われたり、大波小波のピッチングだったが、腐ったり自分にイライラしたりする内面の動揺が表に出ないように一生懸命我慢し、辛抱しながら投げていた。
さらに、北海道を勝ち抜いて初めて駒を進めた明治神宮大会では、国士舘を自責点2点に抑えたあと、健大高崎に2-3で惜敗したが、東京、関東という激戦区を勝ち抜いた強敵相手に、ひるんだような投球を一切見せなかった。
たいしたヤツだと、頭が下がった。こういう選手が1人入ると、チームの雰囲気がガラッと変わる。
球速がないのでプロはわからないが。
そんなにいい投手なら、プロが食指を……とは思うが、まだ、大きな“数字”がない。昨秋の段階で、アベレージ130キロ後半。飛び抜けたスピードはない。
プロの欲しがるエンジンの大きさは、まだ搭載していない。
但し、持ち球の質。これは一級品。
ダグアウトの上から見ると、速球の軌道がねばっこい。あっさり回転がほどけない。「トラックマン」で測ったら、2300回転ぐらい出るのではないか。体感速度が速いタイプだ。
タテのスライダーも、変化点が打者に近い。1つ前の速球と同じ軌道で来て、打者が「まっすぐだ!」と思った瞬間に落ちるから、バットがもう止まらない。速球との合わせワザであるスライダーがしっかりしているのは強い。タイミングを外せるチェンジアップを覚えたら、大学でもローテーションの軸で使える。