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板倉滉がオランダで増した説得力。
“金メダルは無理だろ”の声を覆せ。
posted2020/01/03 11:40
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph by
AFLO
1月にマンチェスター・シティへの移籍が発表され、そこから期限付き移籍によってオランダのフローニンゲンに加入。半年間出場機会を得られなかった時期もあったが、今シーズンの開幕戦以降はスタメンに定着を果たした。
激動の1年。22歳の板倉滉からすれば、2019年は環境が目まぐるしく変化した1年だったと言っていいだろう。
欧州へ旅立ち、今までとは全く違う環境、言語、文化に身を置く。
「『1回、おまえはサッカーに集中しろ』と言われているんだろうなと思います」
笑顔で語るその言葉の裏に、様々な苦労と確かな成長の跡が見えた気がした。
フローニンゲンに加入して以降、なかなか監督の目に止まることはなかった。ただ、日々のトレーニングから指揮官が求める激しさや戦術に理解を示し、時間を追うごとに適応。縮こまってはダメだと、厳しいタックルを受けようなものなら自分も厳しくいくことで、「こいつも本気だな」と周りに思わせることで徐々に信頼を勝ち取っていった。
試合に出続けることが自信になる。
小さな積み重ねが結果となって現れたのが今シーズンの開幕戦だった。初めてスターティングメンバーに自分の名前があることに興奮した。その一方で、ここまで全く出場機会を得られず、欧州に来て何もできていない現実があったからこそ、チャンスを逃すわけにはいかなかった。
「開幕戦はもしここで自分がダメだったりしたら、またそこからパンと切られてしまうかもしれないと思っていた。だから必死でした。すごく緊張しているわけではないけど、喉がカラカラ。つばも飲み込みづらい感じでしたね。これまでそんなこと全然なかったのに、開幕戦から最初の何試合かはそんな状況が続いていました」
それでも試合をこなすごとにピッチで確かな存在感を見せていく。序盤戦は上位陣との戦いが続き、なかなか勝てない時期もあったが、10月から11月の終わりにかけて4勝2分1敗で乗り切りチームを上昇気流に乗せた。
「試合に出続けることが自分の自信になる。そういった自信の積み重ねがプレーをよりよくしてくれている。本当にそれを今年は開幕からずっとできていたのがよかった」