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DeNA戦力外から社会人の頂点へ。
須田幸太が「自分の球」を諦めたとき。 

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byKyodo News

posted2020/01/01 11:30

DeNA戦力外から社会人の頂点へ。須田幸太が「自分の球」を諦めたとき。<Number Web> photograph by Kyodo News

JFE東日本が都市対抗野球で初の優勝を飾った瞬間――その歓喜の輪の中心に、あの須田幸太の姿があった。

橋戸賞&最多勝投手&ベストナインも!

 須田は、都市対抗の最優秀選手に贈られる橋戸賞を受賞した。シーズンの終わりには、2019年社会人の最多勝利投手として表彰され、ベストナインにも選出された。

 元プロが社会人野球への復帰初年にこれほど活躍することは異例だ。須田への注目度はおのずと高まり、アマチュア球界の中でも人気が高いとは言えない社会人野球のアイコン的な存在になった感もある。

 33歳は、そうした現象を重荷に感じてはいない。むしろ、歓迎していると言っていいだろう。

「対戦しているとき、元プロの球を打ってアピールして自分がプロに行くんだっていう熱意を感じさせるバッターもいました。うちのチーム内でもプロへの憧れを強くしている選手がいます。プロでやっていたぼくがいるからという理由で都市対抗を見にきてくれた人もいたと思う。いつからか『自分が社会人野球を盛り上げてやろう』なんて勘違いをし始めたんですけど、この勘違いはいいと思ってます。こういうことは結果を出したときにしか言えないですから。ファンが増えるなら、別に(客寄せ)パンダでもいいかなって」

「社会人野球は、もっと人気が出ていいカテゴリー」

 都市対抗の決勝戦、東京ドームは3階席まで埋まった。プロの試合に劣らぬ大声援に包まれて、須田は社会人野球が持つコンテンツとしての可能性をあらためて感じた。その魅力がわかるからこそ、もどかしげに言う。

「社会人は、野球の中でももっと人気が出ていいカテゴリーなんですよ。プロとは違ったおもしろさがある。とにかく一回見にきてほしいですね。決勝だけでもいいです。それだけでおもしろさは伝わると思う」

 2020年、オリンピックの影響で、例年は夏に行われる都市対抗の開催は11月にずれ込む。プロ野球の日本シリーズも終わった後で、社会人の頂上決戦が野球シーズンの大トリを務めるのだ。

 衆目が集まる絶好機に、大会2連覇を狙う。それができるチームとなるように、すべてを捧げる。

 須田はもう、そのときに向けて歩みだしている。

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