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スポーツクライミング2019→2020
この選手に注目!(総まとめ・女子編)
posted2019/12/25 11:30
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph by
AFLO
東京五輪の出場権をかけた重要なシーズンが幕を閉じた。8月の世界選手権に続いて、オリンピック予選が12月に終了。東京五輪で実施されるスポーツクライミング・コンバインドに出場できる男女各20枠のうち、半数以上の席が決まった。
五輪出場権は各国で男女各2選手までが得られるが、日本からは世界選手権7位以内で日本選手最上位となった野口啓代と楢﨑智亜が、五輪日本代表の内定を手にしている。
もう1枠の行方は、今年10月に日本代表の選考方法をめぐって国際スポーツクライミング連盟と国内協会の間で解釈に齟齬が生じたことで、CAS(スポーツ仲裁裁判所)の判断待ちの状況にある。
当初の予定では、オリンピック予選で優勝した藤井快と伊藤ふたば、男子3位の楢山﨑明智、女子5位の森秋彩の4選手に、世界選手権7位以内で日本選手2番手の成績をおさめた野中生萌と原田海、さらには来春開催予定のアジア選手権コンバインドで優勝した日本選手を加えて、来年の『コンバインド・ジャパンカップ』で争われるはずだった。果たしてCASがどういう裁定を下すのか――。
結論は年末か1月初旬に出ると見込まているが、渦中に身を置く選手たちは、「五輪への道は閉ざされていないので、希望を持って頑張っていきたい」(森秋彩)、「僕らはCASの判断を待つしかないので、CASのことはいったん忘れ、来シーズンへのトレーニング計画をじっくり立てたい」(藤井快)と、すでに先を見据えている。
そこで今回は選手たちと同様に、来季を見据えたテーマでお送りしたい。2020年に注目したい選手たちを女子編・男子編にわけて紹介。今回は女子編をお届けする。
野口啓代が臨む集大成の東京五輪。
筆頭はやはり野口啓代しかいないだろう。8月の世界選手権で五輪代表の内定を決めた際には、「あと1年間、クライミングができることがうれしい。しっかり準備をして全種目の力を上げていきたい」と、すぐに気持ちを切り替えていたのが印象的だった。
来年5月30日で31歳になる野口が、競技人生の集大成となる東京五輪に向けてどんなシーズンを送るのか。過去11度の優勝を誇るボルダリング・ジャパンカップ(以下BJC)をはじめ、東京五輪前、2020年の各大会は引退ロードでもある。そこで咲かせる笑顔をしっかり見届けてもらいたい。