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スポーツクライミング2019→2020
この選手に注目!(総まとめ・女子編) 

text by

津金壱郎

津金壱郎Ichiro Tsugane

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photograph byAFLO

posted2019/12/25 11:30

スポーツクライミング2019→2020この選手に注目!(総まとめ・女子編)<Number Web> photograph by AFLO

野中生萌にとって反撃のシーズン。

 2019年シーズンが最高の1年になっていても不思議ではなかった野中生萌にとって、来年は反撃のシーズンになるはずだ。今年1月末のBJCで初優勝し、続くスピード・ジャパンカップでも優勝。例年はスロースターターの野中が、国内シーズンで好パフォーマンスを発揮したことは、4月からのW杯シーズンでの活躍を予感させた。

 だが、好事魔多し。W杯シーズン開幕前に左肩を故障。前年9月からの右肩のケガもあって、春先以降は満身創痍の日々を送った。それでも万全でない肩の状態を言い訳にしないのが野中スタイル。世界選手権では苦しみながらも、「自分のいまある力を出すだけ」と常に前を向いた。

 その野中ほど国際連盟の見解に当惑している選手はいないだろう。現状は2人目の五輪日本代表になったが、「自分の力で決めたい」という思いを強く持っているはずだ。それだけに『BJC2020』(2020年2月8日・9日@東京・駒沢屋内球技場)から始まるシーズンで、今年以上のスタートダッシュを見せてくれると期待している。

伊藤ふたばや森秋彩も頭角を現した。

 2016年夏に東京五輪の実施種目に正式決定してから注目度の高まったスポーツクライミング。それ以前は野口啓代がひとりで牽引してきたと言ってもいい競技シーンに成長を遂げた野中が加わり、さらには当時は中学生だった伊藤ふたばや森秋彩などが頭角を現したことで、注目度はもとより、競技力も大きく高まってきた。

 ただ、東京五輪のスポーツクライミングは3種目で争われるものの、ほとんどの選手たちは各自の得意にする1種目でアピールして世界大会に飛び出したい思いを強く持っている。その最初のターゲットになる大会が、『BJC2020』だ。

 来季のW杯日本代表には、世界ランク10位以内のIFSC枠を持つ野口啓代と伊藤ふたばが、BJC2020の成績に関わらず選出は濃厚と目されるが、基本的にそれ以外の選手たちはBJCでの上位成績が必須になる。

 しかも、CASの裁定次第ではIFSC枠を持たない五輪強化選手の野中生萌や森秋彩が、BJCの成績にかかわらず、2枠目の日本代表争いに向けて優先的にW杯に派遣される可能性もある。その場合にはW杯日本代表の枠はさらに限られたものになる。

 そのためレベルが年々向上しているBJCにあっては、前シーズンのW杯日本代表でもその座は安泰とはいえない。その危機感をもっとも理解しているのも選手たちだ。

 今年のBJC2019で初めて決勝に進んだ中村真緒と倉菜々子にBJC2020への抱負を訊ねると、口を揃えたように「今年は決勝に進めたことに満足してしまったので、来年は優勝する気持ちを強く持って臨みたい」と意気込む。すべては来季もW杯を戦うためだ。

【次ページ】 大型クライマー・中川瑠も登場。

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