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西武アカデミーにエースはいない。
エリート育成より野球の楽しさを。
posted2019/12/12 20:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Shinobu Ichikawa
ライオンズトレーニングセンター(室内練習場)の隅に行儀よく座った小学生たちが、対角線上にいる選手を熱心に見つめている。
トスバッティングをしているのは今シーズン、パ・リーグ最優秀選手賞を獲得した森友哉だ。自主トレーニングのためトレーニングセンターを訪れていたスーパースターに偶然、会った子どもたちは一様に目を輝かせ、その一挙手一投足を見守っていた。
夕方5時10分からスタートする「ライオンズアカデミー」所沢校の小学3、4年生たちである。
逸れたボールがコロコロと室内練習場の芝生に転がると、子どもたちが我先にとボールに群がる。その1人がボールを森に向かって投げ返した。
「ありがとう!」
森にお礼を言われた子どもたちは照れ臭そうに微笑み、元いた場所に駆け足で戻っていく。
森や源田のポジションが人気。
2017年からアカデミーコーチを務める宮田和希氏は、アカデミー生についてこう説明する。
「僕が子どものころはピッチャーをやりたいという子が圧倒的に多かったんですけど、最近はキャッチャーも人気のポジションです。たぶん、ライオンズの森選手の影響も大きいと思うんですよ。あとはショートでしょうか。源田(壮亮)選手が憧れだと言う子も多くて、人気のあるポジションですね」
ライオンズアカデミーは今年、創立8年目を迎える小学生・中学生向けの野球スクールだ。
2012年に所沢校1校からスタートし、翌年に大宮校、2015年に狭山校、2017年には朝霞校がスクール生の募集を始めた。2019年現在、小学生と中学生の総勢410名(延べ数)に野球を教えている。