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NHK杯、紀平梨花vs.コストルナヤ。
トリプルアクセル競演「2つの差」。
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2019/11/26 20:30
紀平(右)、コストルナヤともにトリプルアクセルを複数回成功させ、ハイレベルな争いとなったNHK杯女子シングル。
紀平に対するリスペクト。
一方のコストルナヤは、飄々としたものだ。
「トリプルアクセルで1つミスしたからといって、次のジャンプに影響を与えることはありません。それがジュニアとシニアの差です。ちゃんと気持ちを切り替えました」
4回転ジャンプ無しで、トゥルソワが持つ史上最高点241.02点に肉薄したことにも、さらっと答える。
「もちろんトリプルアクセルでのミスが無ければ、プラス3点出せたでしょうから、世界記録だったと思います。でも出せていない点数に対しての意見は控えたいと思います」
むしろ、会見では紀平に対するリスペクトさえみせた。
「紀平さんは強い選手です。トリプルアクセルは非常に美しいですし、滑りも綺麗です。そして4回転も練習していて、そういった技をマスターしている人は尊敬に値します」
美しく刺激的な闘い。
それを隣で聞いた紀平も、コストルナヤのことを賞賛する。
「特にコストルナヤは、トリプルアクセルも凄いけれど、3回転フリップ+3回転トウループは加点がつく凄いジャンプで、安定感もあります。
私もプラス5をもらえるようなジャンプを常に跳ぼうと思いましたし、スピンも、まだまだ足りないと分かりました。コストルナヤと比較したときに、まだまだ伸ばしたいところが出て来ました」
GPファイナルは、2人の15歳の4回転ジャンパーが加わり、かつてない激戦になる。しかしその主役は、15歳から17歳の幼くて可愛らしい女の子達だ。紀平は言う。
「ロシアの子達とは、共通の言語がないので、携帯で写真を撮るくらいしか出来ませんでした。これからは、もうちょっと自分から話しかけるように頑張ってみます」
美しく刺激的な闘いに向けて少女達は、不安や苦しさを笑顔の奥に隠し、トリノの地へと向かう。