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ブラジル優勝U-17W杯で記憶すべき、
巨大な才能+不参加だった超逸材。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2019/11/20 08:00
U-17W杯表彰式での一幕。ブラジルのベロン(中央)、フランスのアウシッシュ(右)は数年後、サッカー界で大きく名を上げるだろう。
7アシストの「ジダン2世」現る。
個々の選手では、フランスのアウシッシュに巨大な才能を感じた。両親がアルジェリア系で、高度なテクニックと優れた戦術眼から危険なスペースに絶妙のパスを送り込む。
U-17欧州選手権の得点王で、W杯では1得点ながら7アシスト。「ジダン2世」の呼び声があり、今後が本当に楽しみな選手だ。
6得点をあげて得点王に輝いたオランダのソンジ・ハンセン(アヤックス)は、少し下がり気味の位置から飛び出してきて、少ないタッチでゴールを陥れる。状況判断が素晴らしく、味方の選手に決定的なパスも出せる。
ブラジルでは、大会MVPに選ばれたベロンのテクニックとアイディア、5得点を記録したCFカイオ・ジョルジの決定力が目立った。
フランスのルシアン・アグメ(インテル)は、大柄でパワフルだがテクニックもあるボランチ。ブラジルのテレビの解説者は「ポグビーニャ」(小さなポグバ=マンチェスター・ユナイテッド)と呼んでいた。
西川の評価が高まる一方で……。
日本人選手では、西川潤の評価が高かった。決定的なパスが出せて、点も取れる選手。フィジカル・コンタクトにも強い。今後、Jリーグで経験を積んでさらに成長すれば、いずれはA代表を狙える逸材だろう。
近年、世界では選手の若年化が急速に進んでいる。才能ある若手の多くが20歳以下でデビューして戦力となっており、クラブからの要請で、実は20歳以下の最も優れた選手の多くはU-20W杯に出場しない。
今回のU-17W杯でも、この年代のブラジル最高のアタッカーと目されるレイニエール(フラメンゴ)は今季の国内リーグで12試合に出場して4得点を挙げており、代表に招集されたがクラブが出場を辞退させた。