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調教師試験の受験14度を経た執念!
矢作師の腕はオーストラリア仕込み。
posted2019/11/15 17:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
秋のGIシーズンも佳境を迎え、今週末は京都競馬場でマイルチャンピオンシップ(GI、芝1600メートル)が行なわれる。
3歳以上のマイル王決定戦で、前走の天皇賞(秋)(GI)でアーモンドアイの2着となったダノンプレミアムや、今年の日本ダービー(GI)2着馬で、前走の毎日王冠(GII)を強烈な脚で差し切ったダノンキングリーらが人気になりそうだ。
そんな中、軽視禁物と思えるのが、モズアスコット(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)ではないだろうか。
同馬は同じ1600メートルのGI戦である安田記念を4歳だった昨年、目の覚めるような差し脚で優勝。東京のマイル戦はスピードだけでなく、地力も要求され、GIを制するには、本当の実力が必要不可欠だ。まして前走のスワンS(GII)では勝ち馬より早目に動いた分、最後にハナだけ差されたが、内容としては勝ちに等しい競馬をしてみせた。
今回、あまり人気にならないようなら狙ってみたい1頭である。
開成出身、14度目の受験で突破。
そんなモズアスコットを手掛けるのは矢作芳人調教師だ。
1961年3月生まれで現在58歳。進学校の開成高校出身という出自は有名だが、調教師試験には実に13回も弾き返された。
しかし、14度目の受験となった2004年に難関を突破し、翌'05年に開業すると、その信念に誤りが無かった事を、自ら証明し続けている。
'10年にはグランプリボスで朝日杯フューチュリティS(GI)を制し、開業後初となるGI制覇をマーク。'12年にはディープブリランテで日本ダービー(GI)を優勝。アッと言う間にダービートレーナーの称号を掌中に収めた。
更に'14年には年間54勝を挙げ、初のリーディングトレーナーの座も射止めてみせた。