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『氷艶』準備中のトライアウトで決意。
高橋大輔が語ったアイスダンス転向秘話。
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byShigeki Yamamoto
posted2019/11/12 11:50
年末に全国の劇場で公開される『氷艶hyoen2019-月光かりの如く-』のディレイ・ビューイング先行上映会の舞台で、高橋大輔はにこやかに稽古時の秘話を披露した。
12月22日、男子フリーの夜、代々木体育館。
トークショーのあとは、ファンによる撮影タイム。最後は高橋が客席の真ん中に立って『氷艶』のパネルを持って記念撮影となった。客席では、まるで試合会場かのように『D1SK』の文字が書かれたピンクのバナータオルが揺れる。それは単なるトークショーではなく、全日本選手権に向けてファンが高橋にパワーを送る壮行会のようでもあった。高橋は言う。
「アイスダンス転向は、シングルの競技が終わってから発表したかったんです。でもいきなり言うと皆さんをびっくりさせてしまう。シングルとしては全日本選手権が最後ですよというのを、応援して下さる方の心の準備のために発表したんです」
実際のところ、アイスダンス転向を先に発表すれば「これがシングル最後」という期待や重圧が増す。しかし自身にとっての都合よりも、ファンへの気遣いが先に立った。そんな高橋の心意気はファンに伝わる。12月22日、男子フリーの夜、代々木体育館。温かいファンの歓声に包まれて有終の美を飾る高橋の姿が見えるような、温かい空気に満ちたトークショーだった。