エラー＆トライを誰よりも繰り返した。

　梶谷は若いときからエラー＆トライを誰よりも繰り返してきた選手だ。

　トリプルスリーを狙える肉体とポテンシャルを持ちながら、一歩進んでは足踏みをし、そしてまた一歩進むといったことを繰り返してきた。

「自分の場合は、失敗をしないと気づかないことが多いんですよ（苦笑）。本来は失敗しないで気がつければいいんでしょうが、そんな人間はなかなかいない。若いときはわからなかったけど、ようやく失敗をして気がつくことの大切さを理解できるようになりましたね」

「人としても成長できた」

　今季は41試合出場、打率.215、盗塁3。一軍に帯同されるようになって以降、キャリア最低の数字も含むが、梶谷にとっては大きな意味のある長く感じた1年だった。

「もちろん数字的には不甲斐ないのですが、これまで以上に大事なシーズンだったことは間違いないですよ。野球選手としてはもちろん、人としても成長できましたからね」

　そして、その真価を発揮すべく来シーズン、筒香がチームをあとにすることもあり、梶谷の力はチームにとって必要不可欠なものとなる。

「ゴウ（筒香）がいなくなるのはチームにとってかなり痛いのは間違いない。僕としては野手で年長になるので、声を出したり、練習への姿勢で盛り上げたい気持ちもある。あとゴウが抜けるということは外野の枠がひとつ空くということですから、若手と競い、互いに高め合い、何とかそこを掴み取りに行きたいですね」

　そう語る梶谷の表情には、もはや“脆さ”の欠片もなかった。