ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「人間の脆さを感じた1年でした」
DeNA梶谷隆幸、崖っぷちからの生還。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2019/11/10 11:00
2013年から'17年まで5年連続で2ケタ本塁打を記録してきた。ここ2年はそれぞれ出場41試合と苦しんでいる
「なにか残さないと、もう来年はない」
「あの試合は打てなかったら(現役生活が)終わるなというぐらいの気持ちでした。なにか残さないと、もう来年はないって。
ファームでは課題だった打率を上げるためにバッティングを変えたり、長打力を活かすために試行錯誤してやってきた結果が出たとは思うんですけど、やっぱり大事なのは心の部分。変われた自分がいるからこそ、多少、誰かの記憶に残るようなことができたのかなって」
心のありようは、打者としての“感覚”の部分も変えるに至ったという。
「以前はファームから一軍に上がると、ボールが違うように見えるというか、同じ野球とは思えないようなギャップを感じるんですけど、雰囲気も含め、すんなりボールを見ることができたのは初めての経験でしたね」
ラミレス監督の評価は?
その後、梶谷は9月5日の阪神戦で3安打を放ち今季初めて手応えと確信を得ると、19日の広島戦では3対7と劣勢の状況において代打で出場し同点となる満塁ホームランを放ち存在感を示した。
梶谷は生還した。
ラミレス監督は、終盤に一軍復帰した梶谷を次のように評価する。
「梶谷がベンチにいるということは、チームの層の厚さを示すと同時に、相手に脅威を与えることにもなる。シーズン当初は調子が上がらず抹消せざるを得なかったが、しかし二軍で腐ることなく準備をしてくれた。
彼がいない間、若手選手たちが穴埋めをしてくれたが、やはりシーズンが終盤になり優勝やCS争いになってくるとプレッシャーに押しつぶされてしまう。そこで経験豊富な梶谷の存在が光った。本当、彼はチームにとって重要な人間だよ」