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大リーグ新トレンドの「先発3人制」。
救援投手への負担は増すばかり。
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2019/11/03 09:00
1つのシリーズで、クローザーで投球した翌日に同じ投手が先発したのは、1924年以来。実に95年ぶりの記録を作ったアストロズのピーコック。
ポストシーズンでオープナー対決。
ヤンキースとアストロズの間で行われたア・リーグ優勝決定シリーズの第6戦(ALCS=10月19日)では、ヤンキースがグリーン、アストロズがピーコックといずれも救援投手が先発する「オープナー」同士の対決が、ポストシーズン史上初めて実現した。
結果は、グリーンが初回に3失点。ピーコックは2回表に1失点。
最終的には、両軍のクローザーが9回、ともに2ラン本塁打を浴び、ヤンキースがサヨナラ負けを喫した。その間、継投の妙はあっても、「オープナー」の特性を生かせない結果となった。
今ポストシーズンのヤンキースは、田中、パクストン、セベリーノの3本柱を軸にした一方、今季18勝のヘルマンが家庭内暴力で出場停止処分を受け、サバシアは故障明け。チーム事情からも、「3人制」にするのはやむを得ない部分はあった。
実際、ALCSでは25人のベンチ入り枠に、先発3人と救援10人と計13人の投手を登録。第2戦では、計9投手を注ぎ込んだ。その一方で、アストロズは、ALCS、WSとも今季14勝を挙げた先発4人目の左腕マイリーを登録枠から外してまで、救援陣に厚みを加えた。
A・J・ヒンチ監督は、その理由を相手打線との相性と説明したものの、裏を返せば、7試合中1試合しか投げられない第4の先発投手よりも、毎試合でも登板可能な救援投手を必要と判断したからだった。
ジャスティン・バーランダー、ゲリット・コール、ザック・グリンキーと、メジャー最高レベルの先発陣を持つアストロズだからこそ、先発3人で戦う決断にいたったのだろう。
ただ、通常のローテーション通りであれば、中3日で登板しない限り、第4戦の先発投手は不在。ALCSの場合、雨天順延で第6戦にずれ込んだものの、「プルペン・デー」は予め想定の範囲内だった。
コール、バーランダーの自負。
今季20勝を挙げた先発右腕コールは、ワールドシリーズ開幕前の会見で、救援投手に負担をかける「オープナー」を否定しない一方で、先発投手としての自負をのぞかせた。
「僕は個人的には、先発投手の大ファン。先発投手になりたいと思って育ったし、実際に今も先発投手。相手チーム(ナショナルズ)にも偉大な先発投手がいるし、彼らの耐久力、創造力、粘りを、負けずに見習いたい」
同僚のバーランダーにしても、「個人的には、オープナーのファンではない」と明言するなど、先発投手としてのプライドを隠そうとしない。