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クラシコ延期と深い政治的背景。
迷惑なのはバルサ&レアルの相手?
posted2019/10/24 11:15
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Uniphoto Press
10月26日にカンプノウで開催されるはずだった今季最初のクラシコが延期された。
「バルセロナおよびカタルーニャ自治州内で、カタルーニャ独立派の活動が激化しているから」とざっくりした理由が報じられているが、背景をもう少し詳しく説明しよう。
まず、なぜいま激化しているのか。
発端は2年前の住民投票にある。
2017年6月、カタルーニャ自治州政府は独立の賛否を問う住民投票を同年10月1日に行うと発表し、9月上旬「カタルーニャの民族自決権に関する住民投票法」を成立させて準備を進めた。
スペイン政府は無論、反対だ。そこで住民投票法の違憲をスペイン憲法裁判所に訴え、同法を停止。実力による投票準備の阻止を始めた。
しかし住民投票は予定どおり実施され、投票者の90%超が独立に賛意を示したのである。
自治州政府の首相らに重い判決。
自治州政府のプッチダモン首相は、独立宣言施行前にスペイン政府との対話を望んだ。だが、スペイン側の強硬な態度に変化がなかったため、10月27日、州議会が独立宣言を承認した。
スペイン政府はカタルーニャの自治権を停止して、プッチダモン首相を始めとする州政府首脳を罷免。続いてスペイン検察がジュンケラス副首相ら9人を横領罪・騒乱罪・反乱罪で起訴すると、スペイン最高裁判所は彼らの拘置を許可した(プッチダモン首相は国外へ脱出)。横領罪は、適法性を欠く行事に公金を使用したからである。
去る10月14日、9人に対する判決が下された。
横領罪と騒乱罪についての有罪を認めた最高裁判所が彼らに言い渡したのは、禁固13年から9年。自分たちが民主的に決めた手順に従い行動し、意思を示してきたカタルーニャの人々にとっては、フランコ体制下に戻されたかのような自由の剥奪だ。