“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
Jリーグきってのひょうきん者。
大分FW三平和司が見出す「楽しみ」。
posted2019/10/22 11:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
1つ先の楽しみを見つける――。
大分トリニータFW三平和司が、プロサッカー選手として持ち続けている信念である。
チームきっての、いや、Jリーグきってのひょうきん者。試合後の独特のヒーローインタビュー、サポーターとのセレブレーションでの立ち振る舞い。三平と言えば、ピッチ外の明るいキャラクターを思い浮かべる人が多いだろう。
「それは自然と出るんです。なんか楽しくなっちゃうというか」
本人はそのキャラクターを無理やり演じているつもりは一切ないという。
J1第29節、大分はアウェイで浦和レッズと対戦。後半アディショナルタイムにFW後藤優介の決勝弾によって、勝利をもぎ取った。途中出場していた三平は劇的な勝利のあと、いつものようにおどけたダンスでサポーターたちを喜ばせていた。
試合後のミックスゾーン。一番先に出てきた彼に「なぜそこまで明るく立ち振る舞えるのか」と、直接ぶつけてみた。
「僕の脳みそって常に『1つ先の楽しいこと』を考えているんですよ(笑)。今日だったら、もちろんスタメンで出られない悔しさはあったけど、試合に勝ったので『あ、これで勝利給がもらえる! あ、これで何か欲しいものを買おうかな! 釣りの道具は何を買おうかな!』と。その先にある楽しいことが浮かんできて、楽しくなってしまって、テンションが上がっておかしくなったんです(笑)」
屈託のない笑顔でこう語った。ただ、この考えはプロサッカー選手として彼を支えているベースでもある。
試合に出れなくても、感情的にならずに。
前節の名古屋グランパス戦で2試合ぶりのスタメン出場を果たした三平は、今季リーグ戦3ゴール目となる先制弾を挙げる活躍をみせた。チームは追いつかれはしたものの、勝ち点1をもたらしたことで、この勢いのまま今節浦和戦のスタメン出場も十分に予想できた。だが、結果はベンチスタートだった。
「結果を残しているのに、続けてスタメンで出られない。正直、自分の中でどうすれば試合に出られるようになるのか分からなくなってしまいそうな状態になりかけはしました」
素直な胸の内を認める一方で、彼はこう続けた。
「でも、今までカタさん(片野坂知宏監督)とずっとやってきて、監督の立場からするとチームのトップとして、選手が思っている何十倍、何百倍も悩んで悩んで、その時のメンバーを選んでいると思う。だからこそ、その選択は受け入れないといけないですし、そこで自分がチームにできることは、感情的になったり、イライラしてチームに八つ当たりをすることではなく、自分がどれだけチームをサポートすることができるか。
その上で自分の出番が回ってきた時に、やるべきプレーをできるか。そこで不貞腐れたりして損をするのは何よりも自分なので、自分にマイナスなことをせず、チームにプラスのことをしようと思っているので」