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ドラ1候補、星稜・奥川恭伸も服用?
「足がつる」を治す漢方薬があった!
posted2019/10/16 08:00
text by
大場真代Mayo Oba
photograph by
Hideki Sugiyama
今夏行われた第101回全国高等学校野球選手権大会では、星稜高校(石川)対智弁和歌山高校(和歌山)の3回戦が“死闘”として話題となった。
まもなく行われるプロ野球ドラフト会議の大注目投手でもある星稜・奥川恭伸は延長14回まで165球を投げ、23三振を奪い、勝利を掴んだ。
奥川はストレートも速いが、コントロールも良く、少ない球数で打者を封じる投球術も持つ。結果として、この第3回戦が、奥川がもっとも球数を投げた試合となった。
奥川が異変を感じたのは延長11回だった。試合後に「投げたときに(右足が)ピーンときた」と語っている。
それをいち早く察知したのが、相手チームである智弁和歌山高校のキャプテン・黒川史陽だった。
延長11回裏、先頭打者だった奥川は、ネクストバッターズサークルで軽く足をひきずりながら準備をしていると、チームメイトの内山壮真が「黒川キャプテンからです」とひと包みの漢方薬を届けてくれた。それを水と一緒に飲むと、それ以降は足の違和感も気にならなくなったという。
この漢方薬、一体どんなものだったのか。
「芍薬甘草湯の可能性が高い」
慶應義塾大学で外科医として働きながら漢方医学を学び、現在は「がん漢方」や「漢方内科」も設置されている「芝大門いまづクリニック」院長である今津嘉宏医師は「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)の可能性が高い」と語る。
「芍薬甘草湯とは、芍薬と甘草という生薬を一対一の割合で混ぜてある薬で、筋肉のけいれんにともなう症状に用いられるものです。芍薬とは、牡丹のような花の咲く植物のことで、漢方薬ではその根っこを乾燥させて用います。一方で、甘草は、多年草の一種で名前の通り甘い味がします。こちらも根っこや茎を乾燥させて用います。
芍薬には、ペオニフロリンという物質が含まれていて、筋肉の細胞へカルシウムイオンが入るのを防いでくれる働きがあります。甘草には、グリチルリチン酸が含まれ、筋肉細胞からカリウムを出すのを促進してくれます。このふたつの働きの相乗効果により、筋肉の痙攣にともなう収縮や痛みを和らげてくれるわけです」