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浦和、ACL広州戦を2-0で完勝。
危機管理の中心にいた槙野智章。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2019/10/03 12:00
前半にファブリシオ(中央)がミドルシュートを決めて先制。後半に関根貴大が2点目を決めて快勝した。
この日の浦和は最後まで落ち着いていた。
だからといって、浦和が90分間主導権を握り続けたわけではないが、少なくとも浦和は落ち着いていた。
広州がボールを持てば、丁寧にアプローチをし、かつパワフルに球際で闘っていた。19分にファブリシオのゴールで先制したあとも、マイボールになれば、果敢に攻撃に出て、相手を敵陣へと押し込んだ。「今日は攻守のバランスが非常によかった」と槙野も言う。
それでも、油断するようなことはなかった。今の浦和は、いかにいい戦いで45分を終えても、60分を経過しても、安心はできない。鈴木がその心境を語る。
「ここ最近、後半の真ん中から終盤にかけての失点が多くて、後ろの選手を含めて、フラストレーションが溜まっているところが少なからずあった。鳥栖戦でも70分、74分と立て続けに失点している。そういう試合展開が続いたなかで、今日は逆に自分たちが追加点が取れて試合を終わらせられた。結果だけでいうと自信にはなった」
槙野「ファールをしてでも止める」
広州戦74分の出来事だった。浦和がコーナーキックを得たシーンである。DFラインの選手たちも攻撃参加のためポジションを移そうと敵陣へ向かう。その途中、ピッチ中央で槙野が大きな手振りで周囲に声をかけた。西川周作も慌てて、ハーフウェーライン付近の槙野のもとへ走った。
「あの時間帯、セカンドボールを拾われて、カウンター攻撃されるシーンがあった。だから、CKから相手にカウンターを許すようなことになれば、『俺たちがたとえファールをしてでも、止めよう』という話をしました。イエローカードをもらっていた橋岡大樹が(積極的に)行けなくなっていたので、まだイエローをもらっていない選手が行こうと」
その直後のCKを相手がクリアし、続けて得た左からのCK。相手のクリアボールが関根の前へ転がる。それを右足で蹴り込んだのが2点目のゴールとなった。