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PSV、アヤックス連戦で気づいた事。
先発続く板倉滉がCBの牙を研ぐ。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byGetty Images
posted2019/10/03 20:00
アヤックスのダビド・ネレスと相対するフローニンゲンの板倉滉。ブラジル代表レベルの選手と戦う厳しい日々が続く。
まるで長谷部誠を見るかのようなプレー。
もちろん「試合に負けたこと」は「悔しい」。しかしその感情は、ハイレベルな戦いを通して得た充実感まで打ち消すものではなかった。そして、立て続けにアウェイで戦うことになる強豪のアヤックス戦に向けて、板倉は「すごく楽しみです」と話したのだ。
PSV戦から3日後――。
すっかり日は落ちて、初秋の冷たい空気が漂うヨハン・クライフ・アレナのピッチに立った板倉。およそ5万人の観衆が見守る中、日本代表CBは高い集中を保ち、アヤックスのアタッカー陣が繰り出す多彩な攻撃に対処していった。
決してタディッチから目を離さず、この10番を背負うセルビア代表FWのダイレクトプレーに対しても、味方のDFとの連携で守備に穴を開けない。
24分には、流れるようなパスワークで右サイドを崩してきた敵の攻撃に対して、フィニッシャーのネレスに最後まで食らいつき、左足を差し出してシュートをブロック。板倉を中心に、フローニンゲンの守備陣は、アヤックスの攻撃を跳ね返し続ける。ネレスに個の力で突破を許し、シュートを打たれても、GKセルヒオ・パットが安定したパフォーマンスで最後の砦となった。
そしてクロスボールはきっちり頭で跳ね返し、ボールを持ったときにはビルドアップの起点となる日本人DFは、まるでアイントラハト・フランクフルトを最後尾から司る長谷部誠のようだった。
0-0だったが、痛恨の退場者が……。
板倉が振り返る。
「前半は多少のズレがありましたが、後半は修正して、みんなやることはハッキリしていたと思います。ピンチもありましたけれど、後半は前半の修正点を直せていた。DF同士の距離感を一番意識してやっていました。もちろん少し怖さはありつつ、でもやられないだろうな、という気持ちも多少ありましたね」
後半に入っても、スコアは0-0のまま試合は進んでいった。
時間が経つに連れてアヤックスは攻撃のギアを上げてきたが、フローニンゲンはGKパットも含め、集中を切らさず戦った。クインシーがドリブルで仕掛けてきても、1対1の場面で板倉がきっちりと対処。そう簡単には穴を開けなかった。
しかし、73分――。
ジャンゴ・ワルメルダムが2枚目のイエローカードを貰って退場すると、様相が一変する。