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エディー「君には弟がいるかね?」
会見に感じたティア2国への敬意。
posted2019/09/27 17:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
やっぱり、エディー・ジョーンズの会見は楽しい!
キャッチーなフレーズがバンバン飛び出してくるし、なによりラグビーに対する見方を教えてくれる。アメリカとの試合前日には、このようなコメントが出た。
「われわれは、15人のドナルド・トランプを相手にすることになるだろう」
若干、謎。中身もない。
しかし、メディアにとっては格好の材料で、世界中に電子版を通してこのフレーズは拡散された。
これに対し、アメリカのゲイリー・ゴールド監督はこんな形でスルーしていた。
「言っている意味が、よく分からないんだが……」
拡散という点で見れば、会見での情報戦はエディーさんの圧勝。そして試合もそうなった。
ジョークを飛ばすご機嫌なエディー。
神戸に2万7194人を集めた試合は、イングランドが45-7とアメリカを一蹴した。いつも、世界の強国としてのプライドだけは失わないアメリカなのに、イングランドの強力な圧力に計り知れないダメージを受け、試合終盤には規律まで失って散々な内容となった。
やっぱり、イングランドは強い。
試合終了後の会見場に、エディーさんはニコニコしながら入ってきた。そしてすぐにジョークを飛ばした。
この試合、イングランドのイケメン司令塔のオーエン・ファレルが、アメリカのジョン・クイルにノーバインドの危険なタックルを受け、倒れた。それについて、ひと言。
「危うく、彼の鼻の一部分をバーベキューにするところだったよ。でも、誰かが気づいたみたいだ。彼にとってはとても不運なことだが、彼は結婚しているし子どももいるので、新しく若い女性を見つける必要はないので、まあ大丈夫でしょう」
ご機嫌である。