武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
横綱不在も優勝争い楽しめた秋場所。
武蔵丸が楽しみにする若手は誰だ?
posted2019/09/25 19:00
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph by
Kyodo News
この9月秋場所は、御嶽海が貴景勝との優勝決定戦を制して、2回目の優勝。「どちらか引いた方が負けるな」と思っていたけれど、その通りで貴景勝が引いてしまったね。
御嶽海は、前日の14日目の豪栄道戦で立ち合いに変化してみんなをがっかりさせたけれど、この優勝決定戦を見たら、なんだ、やればできるんじゃないか! 毎日やってくれよ(笑)。勝ち負けではなく真っ正面から行かないとね。
これから上に上がる気があるなら、変化したりの潔くない相撲を取っていると苦労するよ? 大関になりたいなら、今のままではダメなんだよな。長持ちしない大関になっちゃうヨ。
関脇に番付を落とすも、大関復帰を決めた貴景勝。全休明けで、場所前はどうなるかと思ったけれど、調子がよかったな。
先場所、きちんと休んで膝のケガを治して来たのがよかった。きっと9月で暑かったのもよかったと思うんだよ。冬で寒い場所だったりすると、膝が動かなかったりと、ケガの治りやリハビリには気候の影響もあるものだからね。
ただ、貴景勝は足が流れてしまう相撲が多いんだ。足が開きすぎていて、それって足に負担が掛かる形でもある。これがケガのひとつの原因にもなってしまうからね。今度は大胸筋をケガしてしまったらしいけれど、膝のケガをこうして乗り越えたんだから、これもきちんと治して戻って来てほしいな。
番付下位でも「もしかしたら優勝?」。
最後まで優勝争いに絡んだ隠岐の海。
しょうがないよ、ベテランだけど、めったにない展開で緊張しないわけないもん。まわしを取らなきゃ相撲にならないタイプだけど、一生懸命さが伝わってきた。取組編成を見て、上位陣に当たらないまま優勝か――とも言われていたけど、僕は「それもよかったのでは」と思ってる。
番付が下位の人でも「もしかしたら優勝できるかも?」とのいい夢が見られる。チャンスが誰にでもあるんだと思えるものね。