ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
筒香嘉智の背中を見て学び、盗む。
細川成也「一発で仕留める」打者に。
posted2019/09/15 11:30
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
そこは“特等席”なのだという。
横浜DeNAベイスターズの4番である筒香嘉智の“後ろ”を打つということ。2年ほど前、DeNAのヒットメーカーである宮崎敏郎が次のようなことを教えてくれた。
「いやもうネクスト(バッターズサークル)で見ていると配球の読みとかも全部すごいんです。面白いですよ。ゴウ(筒香)が打席に入っていると見ている方がワクワクするし発見も多い。僕が一番近くで見られるわけですからね」
大相撲でいうところの“砂かぶり席”。間近で感じられる堂々たる所作とピッチャーとの駆け引き。これほどの学びの場はないだろう。
今シーズン、その4番・筒香の背中を近くで見る稀有な経験をしたのが、期待の若手スラッガーである佐野恵太と細川成也だ。
筒香に言われて鳥肌が立った言葉とは?
宮崎が怪我で戦列を離れた時期、筒香がサードにまわり、若い外野手が出場のチャンスを得ていたが、その際に佐野と細川は5番に入る機会を与えられ、日本を代表するスラッガーの姿に刮目した。
今季、打撃好調の佐野は、そのときのことを感心した表情で次のように語った。
「いや、すごいですよ。どんな状況であっても同じように打席に入って、どっしりと乱れることなく構えている。ああいった部分は見習うところですよね。すごい勉強になりますよ」
また佐野は、筒香が2番を打っていた8月半ばに4番という重責を初めて担うことにもなった。
「4番はすごい重圧を感じました。これを1年通じて任されることは本当に大変だと思いましたね。あと、4番で初ヒットを放ったとき筒香さんから『4番で初めてヒットを打ったな。おめでとう』と言われたときは鳥肌が立ちました。まだ4番を打てる力は自分にはありませんが、将来的にはレギュラーになってクリーンナップを打つのが目標なので、そこを目指して頑張っていきたい」