松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
パラ柔道、廣瀬悠・順子夫妻の
出会いからプロポーズまで修造肉薄!
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2019/09/23 08:00
夫婦揃ってのトップアスリートというのは珍しい。松岡修造さんは、一気に核心に迫る質問へと突撃!
「僕、ほんとはバツイチなんですよ」
順子「機嫌の良いときは、順子って呼んでくれます」
松岡「歌にありましたよね。『おお順子~♪』って、『君の名を呼べば僕は切ないよ~♪』って」
悠「長渕(剛)さんですね。別に僕、切なくはなりませんけど(笑)」
松岡「ハハハ。悠さん、なんだかすごいなあ……。では、詳しく教えて下さい。面接を2人で受けたときのことを」
順子「悠さんが面接を受けるとき、私はもう悠さんと結婚することを決めていて、前の会社を辞めるタイミングだったんです」
松岡「東京の生命保険会社でしたよね。でも、突然ですね。結婚?」
悠「僕、ほんとはバツイチなんですよ」
松岡「……あの、悠さん。あなたお話がいきなり過ぎて、わけがわからないです」
少し時系列を整理すると、悠さんと順子さんの交際が始まったのは2014年の夏ごろ。悠さんの転職話が進んでいる時期にはもう、順子さんは会社を辞めて悠さんの地元である愛媛に引っ越すことを決めていたという。もちろん、悠さんの過去に婚姻歴があることも知っていた。
悠「面接で、いろいろと聞かれますよね。その中で『面接を受ける前にバツイチになりました』という話になりまして、その話の流れで『実は今度結婚しようと思っている女性がいるんです。彼女は、自分よりもリオに出られる可能性が高そうだから、僕より順子さんを採った方が良いですよ』と説明したんです」
松岡「自分よりも順子さんを? そもそも順子さんはなぜ、その面接に行こうと思ったんですか?」
順子「その時はもう悠さんと交際して1年くらい経っていたのかな。2015年の8月に私の方からプロポーズして、(結婚して)良いよと言ってくれたので、私はもう会社を辞めていたんです。無職の状態で愛媛に行ったんですけど、悠さんがその面接で私のことを伝えてくれて、2人とも採用してくれました」
松岡「……なんだか、とてつもないストーリーですね。小説とか映画になりそうなくらいの。じゃあ、普通に結婚していたら柔道は辞めていたということですか。旦那さんに尽くそうと」
順子「柔道はどこでもできますし、柔道よりも悠さんといられる方が大切だと思って」
松岡「…………あの、大変失礼なことを言いますが、順子さんにとって、悠さんってそんなに魅力があるのですか? 先ほどからお話を聞いていると、「限界は知っている」とか「自分のためにはがんばれない」とか、なんだか自分の人生にも消極的だし……。最初に出会ったのは2013年ですよね。きっかけは何だったんですか」
順子「2013年に合同で練習する機会があって、そこで初めて会ったんです。選手同士であまり話もしませんでした」
松岡「第一印象はどうでしたか」
順子「ヘンなおじさん(笑)。なんかチャラチャラしてて」
松岡「チャラ男か! チャラい感じで、『順子、可愛いね』とか言ってきた」
順子「本当にそんなノリでした。突然手もつないできたりとか。その手が汗ばんでいて、ちょっと気持ち悪かったです(笑)」
松岡「ねえ、何してるんですか。本当に!」
悠「いやいや、あの当時はまだ寛容な時代だったので」
松岡「寛容って(苦笑)。寛容にも限度がありますからね。それで、いきなり手をつないできてどうでした」
順子「いやもう、ヘンな人だなと」
松岡「そうなりますよ」
悠「なんて言うんですかね……。ま、その時に、『若くて可愛い子が合宿に来る』って噂が広まっていたんですよ。だから僕としては、周りの男子が嫉妬するようにしたというか。『オレの距離感の詰め方はすごいやろ』って周りに見せてみたんですよ。なにしろチャラ男なんで(笑)」
松岡「いや……。悠、おぬし、やるなあ! ちょっとスポーツとはどんどん離れてきちゃいましたけど、もうここまで聞いたら、なぜ離婚したのかも全部聞かなきゃいけなくなりますよ」
悠「聞いてもらっても大丈夫ですよ。隠すことはないので。そもそも離婚についても、お相手(前妻)から言ってきたことなので」