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ビーチバレー坂口佳穗の大成長。
東京五輪へ向け「1人の人間として」。
posted2019/09/07 09:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
tenten
中学卒業を機にそれまで続けていたバレーボールから離れた坂口佳穗に、転機が訪れたのは高校3年の秋だった。試合観戦をしたことからその魅力に取りつかれ、大学入学と同時にビーチバレー選手へ転身した。翌年からは本格的にツアーに参戦し、昨年は悲願の国内ツアー初優勝。ワールドツアーでも表彰台に上がった。
5シーズン目を迎えた今季、坂口は昨年の世界大学選手権でペアを組んだ村上礼華を新たにパートナーとして迎え、国内外のツアーに挑んでいる。今季はここまで国内ツアーで2勝。「しっかりと勝ち切れたのは良かったと思います。試合中に崩れても、その後、二人でしっかりと立て直すこともできたので、自信にはなりましたね」と笑顔がはじける。
技術のみならず、精神的な成長は自らも実感している。きっかけとなったのは、昨年までペアを組んでいた8歳年上の鈴木悠佳子の言葉だった。
「本当に勝ちたいのなら自分としっかり向き合わないと。足りないものに気づいて、それを認めないと何も変わらないよ」
自分の“甘さ”に気づかされた。
「自分がいかに周りに頼っていたか」
「昨年は社会人として迎えた初めてのシーズンでした。選手としてはもちろん、一人の人間としていろいろと指導していただいて、それまで自分がいかに周りの方々に頼っていたのかを認識した1年になりましたね。そういう部分を変えないと勝てないんだ、変わらなきゃいけないって」
カウントダウンが始まった東京五輪出場に向け、現在はツアーを転戦する日々を送る。
「海外に行くと、もちろん選手も楽しそうにプレーしているし、観客もすごく盛り上がっているんです。ビーチバレーはエンターテイメント性もあるスポーツ。日本でもそんな空間を作れるような選手になりたいです」
坂口佳穗Kaho Sakaguchi
1996年3月25日、宮崎県生まれ。マイナビ/KBSC所属。2014年、大学入学と同時にビーチバレーを始める。'15年からJBVツアーに参戦し、同年6月、国内メジャー大会デビューを果たした。'18年5月、マイナビジャパンビーチバレーボールツアー第2戦東京大会で優勝。173cm。