プレミアリーグの時間BACK NUMBER
“1ミリ”も見逃さないVAR導入で、
プレミアリーグは何を失うのか?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto Press
posted2019/08/27 11:00
VAR判定によって判定の精度が向上するのは間違いない。その一方でサッカーの醍醐味を欠くようになるとの意見も多い。
露骨な判定ミスは誰もが御免だが。
ウェストハム戦でのスターリングのオフサイドにしても、カメラの誤差と同等と言える、極めて微妙な世界である。主審と副審の肉眼が捉えたオンサイドを、紛れもない誤審だと責める者など誰もいなかったはずだ。
主審の露骨な判定ミスで試合が台無しになるのは誰もが御免だが、ネットが揺れても、観衆が黙ってビデオ判定を待っているようなムードは勘弁してもらいたい。
開幕2試合でゴールの喜びをもたらした選手の1人に、ノリッチのティーム・プッキがいる。
第2節でのハットトリックを含む計4得点を挙げ、昇格組のチームを支えている。そんな29歳のフィンランド代表ストライカーにはさっそく、プレミアDF陣が対応に注意すべき「ゴール前の刺客」という評判が立っている。プッキと同じくではないが、プレミア審判団もビデオ判定の扱いには注意がいる。
人間の感情を度外視して事実だけを追求するようでは、VARというニューフェイスは「パッション・キラー」という好ましくないニックネームを頂くことになりそうだ。