ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
小平智、米ツアー実質2年目を終えて。
不本意な1年も「光は近づいてきた」。
posted2019/08/13 11:40
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
グリーンズボロに漂う雰囲気はいつもどこか物悲しい。猛烈な8月の日差しとカロライナ地方の高い湿度で体は熱気に満ちていようとも、独特の緊張感が漂う。
ウィンダム選手権は、前身のクライスラークラシック時代の2003年10月に丸山茂樹がPGAツアー通算3勝目を飾った大会である。
それが'07年以降は開催時期が夏場に移り、ポストシーズンの処遇が決まるレギュラーシーズンの最終戦になった。ポイントレースの上位125人までがシードを獲得しプレーオフシリーズへ。それ以下の選手は下部ツアー選手との入れ替え戦に進むか、それすらもかなわないか、という分かれ道になる。
ここ数年、日本人選手が何人も当地で厳しい現実を突きつけられてきた。今田竜二、岩田寛、石川遼……。
今年は小平智だった。
「去年のほうが辛かったかな」
昨年4月のRBCヘリテージで初優勝を飾り本格参戦したPGAツアーは、今シーズンが実質的な2年目といえた。昨秋の開幕から22試合に出場し、トップ10入りは一度もなく、約半分の10試合で予選落ちした。ポイントランキングはプレーオフ進出に遠く及ばない185位。昨季の94位にも大きく及ばなかった。
それでも、物事は見る人によって捉え方が違うから不思議だ。この2年を比して、小平は「今年はしんどいことも多かったですけど、去年のほうが辛かったかな」と言うのだ。
'18年はPGAツアーでの1勝だけでなく、年末にスポット参戦した日本ツアー最終戦・日本シリーズJTカップでも優勝した。そんな光に満ちた1年にもかかわらず、本人は「優勝した2回とも自分のゴルフとは思えないゴルフだった。とくに日本シリーズは自分のスイングもできず、“ごまかし、ごまかし”で勝ったんです」と振り返る。