マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
甲子園の1日を記者はどう過ごすか。
試合、練習、囲み……常に取捨選択。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/08/08 07:00
甲子園のスタンドは暑い。それでも人が来るのは、その暑さを上回る魅力があるからである。
監督を「ひとり占め」できることも。
甲子園の現場を離れることもある。
その日試合がないチームは大会本部に割り当てられたグラウンドで、1日2時間の練習を行うが、私の場合は、そこへ出かけていくこともある。
甲子園球場からタクシーや電車ですぐの場所にも練習グラウンドがあって、どうしてもお会いしたい監督さんやすぐ近くで練習を見てみたい選手が来ている場合は、試合を我慢して、パッと行ってみる。
監督さんと話をすると言っても、練習のお邪魔にならないように立ち話で数分ぐらいのものだが、甲子園の現場では監督さんを「ひとり占め」できることはまずないので、こちらにしてみれば、こんなにありがたい時間はない。
選手が練習している姿などなかなか見られるものじゃないし、よい意味で意外な一面が見られることのほうがずっと多いので、暑い中、結構うれしそうに出かけていく。
もう一度戻った記者席には、通りがかりにいろいろな方がいらっしゃる。
テレビ放送の解説を控えている監督さんたち、新聞記者の方たち、野球部の先輩、後輩、以前取材で会った元選手、プロ野球のスカウトの方たちに大学、社会人野球の関係者、そして、野球大好きな芸人さんも何人もみえて、そういう方たちとの語らいも楽しく、勉強になることもとても多いのでありがたい。
朝昼の食事も行き当たりばったり。
そんなこんなで、あっという間に第4試合になってしまう毎日だから、朝、昼、1日2回は「甲子園」で食べる食事のほうも、時間も内容も行き当たりばったりになりがちだ。
暑さと忙しさで、私の場合はそんなに食べたいと思わなくなるのだが、それでも倒れたくないので、球場の隣の大きな商業施設に向かう。
地下が「スーパー」になっていて、お弁当でも、焼きたてのパンでも、なんでも売っている。上の階にのぼっていけば、讃岐うどん、ラーメン、お好み焼きに丼もの……イートインもある。