甲子園の風BACK NUMBER
地方大会の投球回数が甲子園に影響?
最多は1人で60回を投げた投手も。
posted2019/08/05 20:00
text by
田澤健一郎Kenichiro Tazawa
photograph by
Kyodo News
かつて神奈川の名門・横浜の部長を務め、主に技術・戦術面の指導を行っていた小倉清一郎氏は、夏の甲子園で上を目指す戦略の1つとして「神奈川大会でエースが投げるイニングを合計36回以内に抑えないと甲子園でバテてしまう。手ごわい相手の準決勝、決勝が連投になる可能性を考えると準決勝までは18回以内が理想的」という投手起用プランを語っていた。
神奈川大会は優勝までノーシード校は8試合、シード校でも7試合を戦わなければならない。8試合ならコールド勝利無しで72回。36回はちょうど半分である。
東海大相模や桐光学園、慶應義塾といった強豪がしのぎを削る神奈川とはいえ、エースを使いすぎると、たとえ優勝しても、肝心の甲子園本大会に疲労を引きずってしまう。甲子園優勝のためには、地方大会から先を見すえた投手陣の運用が必要、というわけだ。
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たしかに、地方大会をほとんど1人で投げきって甲子園出場を決めた好投手が、疲労が抜けないまま、開幕から日が浅めの初戦に登板。低調なピッチングであっさり敗退してしまうケースは目にすることがある。
地方大会で投手たちが何回投げたか。
近年こそ高校野球でも、甲子園出場校レベルともなれば複数投手制や継投策が甲子園で実践できるレベルで普及。エースに過度な負担がかかることは減少している。とはいえ、猛暑のなか相手もハードな夏の甲子園。投手は疲労をできる限り抑え、フレッシュな状態で大会に臨みたいのは当然だろう。
そこで今夏の甲子園出場校について、地方大会での登板イニング数を調べ、総イニング数における最多登板イニング投手のイニング数割合を調べてみた。この数字が高ければ高いほど、1人の投手への負担が大きかったことになる。