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アヤックスは売る側で、勝つ側だ。
そのプライドが新たな逸材を生む。 

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寺沢薫

寺沢薫Kaoru Terasawa

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photograph byGetty Images

posted2019/07/28 11:40

アヤックスは売る側で、勝つ側だ。そのプライドが新たな逸材を生む。<Number Web> photograph by Getty Images

2018-19シーズンのCLベスト4で鮮烈な印象を残したアヤックス。主力2人が抜けた今季も躍進の予感が漂う。

タディッチ&ウイング陣も健在。

 最後に前線は、昨季のエールディビジで最多ゴール&アシストをマークした不動の10番、ドゥシャン・タディッチが健在である。

“偽9番”の役目も担う彼のお膳立てを受けて、ワイドからゴールに迫るウイング陣も面白い。

 ネイマールの面影を感じさせるブラジル代表のダビド・ネレスがいる。またハキム・ツィエクについては、スポーツディレクターのマルク・オーフェルマルスが「メスト・エジルよりも優れていると思う。もし私がアーセナルにいたら、エジルを売って彼を獲得するだろうね」と絶賛するほど。

 そしてここにセビージャから獲得したクインシー・プロメスも加わった。

 オランダ代表のプロメスは、アムステルダム出身でアヤックスの下部組織に在籍経験がある。さらにテンハーフ監督とは、ゴーアヘッド・イーグルスで師弟関係にあったこともある選手で、適応に時間はかからないはずだ。

有望株を送り出しながら、勝つ。

 デリフト、デヨングをそれぞれ7500万ユーロで売却したアヤックスは、その元手を補強に投資し、前述したプロメスに1570万ユーロ、アルバレスに1500万ユーロ、マリンに1250万ユーロを支払って、しっかりと戦力を増強している。

 思い返せば、1年前の夏にも、タディッチに1140万ユーロ、ブリントに1600万ユーロの移籍金を投じており、近年は有望株をヨーロッパのトップシーンに輩出するというクラブの本分を全うしつつも、同時に競争力が落ちない、勝てるチーム作りを目指していることがわかる。

 同時に、テンハーフ監督率いるコーチングスタッフの指導によって、選手が変わっても“持続可能”なスタイルを持ったチームにしていこうという意図も見て取れる。この夏、クラブは引く手数多だったであろうテンハーフ監督との契約を2022年まで延長することに成功した。

【次ページ】 ペップ&クライフイズムの指揮官。

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