ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
アヤックスは売る側で、勝つ側だ。
そのプライドが新たな逸材を生む。
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph byGetty Images
posted2019/07/28 11:40
2018-19シーズンのCLベスト4で鮮烈な印象を残したアヤックス。主力2人が抜けた今季も躍進の予感が漂う。
ロシアW杯にも出場したアルバレス。
特に期待されるのはアルバレスだ。
技術、戦術眼、デュエルの強さと三拍子がそろったDFで、ロシアW杯にも出場していた。
アメリカ大陸からアヤックスに渡ってきて成功した選手としてはコロンビア代表のダビンソン・サンチェス（現トッテナム）の例があるし、ライバルのPSVで多くの選手が活躍してきたように、エールディビジとメキシコ勢の親和性も高いことから、ブレークが期待されている。
デヨングが抜けた中盤も粒ぞろい。
一方で司令塔のデヨングが抜けた中盤は、彼がやっていた仕事をそのまま任せられるような選手はそうそう出てこないだろうが、それでも粒ぞろいだ。
組み立ては頼れるベテランのラッセ・シェーネが担い、昨季も果敢な飛び出しから何度もチャンスを生み出したドニー・ファンデベークが攻撃の要となる。
この2人と並ぶ“もう1枠”の候補には、昨季はケガでほぼシーズンを棒に振った左利きのプレーメーカー、カロル・アイティングや、「ポール・ポグバ2世」と言われ、16歳130日というクラブ史上最年少デビュー記録を持つ17歳のライアン・フラーフェンベルフという逸材もいる。
またスタンダール・リエージュから獲得した23歳のルーマニア代表MFラズバン・マリンも期待の新戦力。マリンについてはテンハーフ監督が「すぐに我々が彼を手に入れた理由を示すだろう」と話す。「アヤックスのシステムやスタイルに馴染むには、どんな選手も一定の時間がいる。
だが、彼にその資質が備わっているのは間違いなく、大きな期待を寄せている」と。さらに前述したDFアルバレスも、今夏のゴールドカップではメキシコ代表でMFを務め、中盤の底の“汚れ役”として評価を高めており、彼の起用も可能だろう。
