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<深層ドキュメント>
サニブラウン・ハキーム「“悪夢”からの9秒97」

posted2019/07/15 15:00

 
<深層ドキュメント>サニブラウン・ハキーム「“悪夢”からの9秒97」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

日本選手権100m決勝では10秒02の大会新を記録し、桐生祥秀らに圧勝。

text by

及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

100mの日本記録更新と日本選手権2冠。20歳の大器は文字通り日本スプリント界の顔となった。なぜ彼は才能を開花させることができたのか。フロリダ大での知られざる苦悩と覚醒の瞬間に迫った。(Number982号掲載)

「Nightmare(悪夢)」

 フロリダ大学では毎年、全米大学選手権の出場選手にニックネームが入ったバックパックを配布するが、サニブラウンのものにはこの言葉が刺繍されている。

「ハキームは夢か悪夢か」

 そう呼ばれ始めたのは2017年。当時一緒に練習していたオランダ陸連のコーチやチームメイトたちが、練習でムラっ気があるサニブラウンをこう呼び始めたからだ。

 10代の頃はレース前に気が乗らないと「やる気スイッチがみつからない」と冗談交じりに話すことがあった。スイッチが入った時は素晴らしい走りを、オフの時は周囲を唖然とさせてしまうような低調なパフォーマンスをする。

 それがニックネームの由来だ。

「自分がやるべきことをやったら、自ずと結果は出るのかな」

 日本選手権前にこの言葉を何度も口にした。

「やるべきこと」

 練習で積み重ねてきたこと、コーチに指導されたことをレースで出し切る。とてもシンプルなことだ。

「2種目で勝ってドーハ行きを決めて、フロリダに戻ってきたい」

 大きな自信が感じられた。

 フロリダ大学で指導するマイク・ホロウェイコーチも、帯同したボランティアコーチのアントワン・ライトも口を揃える。

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