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ブラジルに完敗したアルゼンチンが、
現状維持を選ばざるを得ない理由。 

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藤坂ガルシア千鶴

藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia

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photograph byUniphoto Press

posted2019/07/06 17:00

ブラジルに完敗したアルゼンチンが、現状維持を選ばざるを得ない理由。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

ブラジルに敗れ、コパ・アメリカでは3位決定戦に回ったアルゼンチン。今後の強化も不透明な状況が続く……。

不可解な采配にメディアもファンも反論。

 だが、結果的には初戦でコロンビアに敗れ、続くパラグアイ戦はかろうじてドロー、そして国内のメディアから「今大会で最も良いプレー内容」と評価されたブラジル戦でも組織的、個人的な力の差を見せつけられる形となった。

 コパ・アメリカは経験値の低い監督が率いるチームが「メッシがいるから」とか「アルゼンチンだから」という理由だけで勝てるような大会ではなかった。

 エスカローニ監督の采配については、最後となったブラジル戦以外はすべてディベートの対象となったが、特に批判されたのがパラグアイ戦でラウタロ・マルティネスを下げてディマリアを投入した時だった。前線でメッシ、アグエロ、マルティネスの3人による連係が機能し始め、ダイナミックな攻撃を仕掛けていたちょうどその時、エスカローニがマルティネスを交代させたのだ。

 この不可解な采配にはテレビの実況と解説、SNS上で試合にコメントしていたジャーナリストや一般のファンも一斉に反論し、監督の経験不足が今一度問題視される要因になった。

ベテランたちに叱咤された新米監督。

 新米監督に対して選手たちが業を煮やしたこともあった。

 パラグアイ戦の先発メンバーが選手に知らされる前にメディアに漏れてしまったことについて、エスカローニ監督がメッシ、アグエロ、ディマリア、ニコラス・オタメンディら「ベテラン」に叱咤されたのだ。

 この光景は、ロシアW杯で選手たちと当時のホルへ・サンパオリ監督の信頼関係が大きく崩れたエピソードを思い起こさせたが、幸いなことに今大会に限って「決裂」はなかった。メッシも「エスカローニは今(監督として)学んでいるところだから」と語りながら寛容な態度を見せ、むしろ腹を割って話し合ったことでグループ内の団結力が高まったかのようだった。

【次ページ】 「VAR判定なし」で憤るメッシ。

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