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中邑真輔はいつWWEで天下を獲る?
引退まで「あと5年」告白の真意。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2019/07/01 18:00
WWEという団体でCOO(最高執行責任者)も務めているトリプルH(右)。レジェンドとも言える選手が中邑真輔と組んだ……ということに大きな意義が。
WWEにたくさん並ぶベルトのどれが良いか?
WWEの頂点には世界王座に当たる「WWE王座(WWE Championship)」というタイトルがあるが、「ユニバーサル王座」は「RAW(『SmackDown!』と2枚看板として並ぶWWEの放送プログラム)」のトップタイトルとして、3年前に新設されたタイトルである。
名前は「ユニバーサル」と大きいが、WWE的には2番目と言いたいところだが……今のところ微妙な位置づけのタイトルになっている。
ちなみにWWEには「インターコンチネンタル王座」というタイトルもあり、ニューヨークのWWF時代(WWEの前身)から「インターコンチネンタル・ヘビー級王座」として存在した。歴代の王者にはパット・パターソンやペドロ・モラレス、ランディ・サベージらが名前を連ねている。そのタイトル戦の歴史と知名度では、実質的にはインターコンチネンタル王座の方がユニバーサル王座よりも上、という見方もできる。
中邑は「US王座(ユナイテッドステイツ王座/WWEの王座のひとつ)」を保持していたが、今はその腰にベルトはない。
中邑のWWE王座を狙う戦いはしばらくストップしていた。タッグでの試合が多くちょっとブレイクをとった感じだった。AJスタイルズによるWWE王座への4連続挑戦も、もう過去の記憶になりつつあるくらいだ。
イチローの影響で「45歳までは戦う」。
中邑は1カ月前、シンガポールの地元紙『The Straits Times』のインタビューに答えて、自身の引退の年齢について、「少なくともあと5年はプロレスをやりたい」と発言している。さらに「45歳になるまで戦う必要がある」と自身に言い聞かせるように語っている。この45歳という区切りはメジャーリーグで活躍して、今年3月に引退したイチローの影響だという。中邑は、2月生まれで、今は39歳だから、その引退までの残された時間は5年から6年ということになる。
5年という期間が長いのか、短いのかはわからない。ただ、5年という区切りの中で、やりたいことをやって、プロレスラーを全うするプランなのだろう。
ただ、WWEに身を置く以上、そのトップであるWWE王者になるという課題がその中に入っていないはずはない。