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バスケ日本代表、そして東京五輪へ。
ビッグマン渡辺飛勇が描く夢物語。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byYoko Miyaji

posted2019/06/17 07:00

バスケ日本代表、そして東京五輪へ。ビッグマン渡辺飛勇が描く夢物語。<Number Web> photograph by Yoko Miyaji

NCAA1年目のシーズンは試練の連続だったという渡辺飛勇。6月からは日本代表の合宿に参加する予定だ。

家族は特別な存在。

 そのためにも、今もポストからの攻撃やジャンプシュートの練習に励んでいる。

「『ヒューは大きくて、リバウンドは取れるけれど、オフェンスでは何もできない』と言われないようにしないと。特に母にそう言われないようにしないと」と笑う。

 ハワイにいる母からは、少ないときでも3日に1回の頻度でテキストメッセージが届き、『代表チームに入るにはコンディショニングが悪すぎる』などと指摘されるのだという。 「そうやって母から弱点を指摘してもらえることはありがたいことだと思う。自分では弱点だと思わないことも弱点だと指摘されることもある。

 でも、コーチやチームメイトから言われるのとはまた違う。何より母から言われると無視するわけにはいかないからね。真剣に受け止めなくてはいけない。だから、母が何も言うことがないぐらいのところまで上達したいんだ(笑)」

 いつも支え、応援してくれる家族は、渡辺にとって特別な存在だ。

「僕にとって家族はとても大事なんだ。弟や母、父に何か必要なものがあったら、いつでも喜んで差し出すぐらいね」と渡辺。

 1歳半年下の弟、コールはハワイ大でバレーボール選手で(今年はレッドシャツ)、バレーボールのU-23日本代表合宿にも呼ばれているという。タイミングによっては、兄弟が味の素ナショナルトレーニングセンターですれ違うこともあるかもしれない。

「僕と弟が同じ時期に日本に行って、2つの違うスポーツをするというのは、すごくクールなことだ。僕らが日本を代表してプレーすることで、家族や日本にいる親戚に誇りに思ってもらえたら、それはすばらしいことだ」

兄弟で東京オリンピック。

 もしも、それが来年の東京オリンピックの舞台でも実現したら?

「そうなったら、本当にクールだ。アメリカのバレーボールではショウジ兄弟(ハワイ出身)が兄弟でリオのオリンピックに出ていた。あのとき彼らの父、デイブ・ショウジが息子たちのことを話していたように、家族に僕のことを語ってほしい。誇りを感じてほしい。両親には多くを与えてもらったから、お返しをしたいんだ。それができたら最高だ。弟といっしょだったら、さらにクールだ。

 でもそれを実現させるためには、僕も弟も、もっと頑張らなくてはいけない。まだやらなくてはいけないことがたくさんある」

 今はまだ夢物語かもしれない。しかし、この夏、渡辺はその夢の入口からの一歩目を踏み出そうとしている。

(『宮地陽子のGO FOR 2020 ~海外日本代表候補選手奮闘記~』(c)AKATSUKI FIVE plus+)

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