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ホンダが目指すF1ドライバー育成。
「F3」で飛躍を誓う10代コンビ。
posted2019/05/21 07:30
text by
島下泰久Yasuhisa Shimashita
photograph by
Honda
5月第2週の週末、F1スペインGPでレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが3位表彰台を獲得したカタロニア・サーキット(スペイン)。そこでは、その世界最高峰の舞台を目指す若武者たちの選手権も開幕を迎えていた。FIA F3選手権である。
日本人ドライバーの松下信治選手が参戦するのがF1直下のFIA F2選手権。その更に下に位置するF3選手権は、従来のGP3の発展型として今年からスタートしたもので、ヨーロッパを中心に多くのレースをF1のサポートイベントとして、全8イベント16レースが開催される。
マシンはワンメイク、つまり全車共通でイタリア・ダラーラ社製の車体に、最高出力380hpを発生するV型6気筒3.4Lエンジンを搭載する。
F3に参戦する2人の若き日本人。
参加ドライバーは、バルセロナの開幕戦では30名。その中には、日本人ドライバーもふたりが顔を揃えていた。カーナンバー14のイェンツァーのマシンに乗る角田裕毅(つのだ・ゆうき)、そしてカーナンバー29、カーリン・バズレーシングから参戦する名取鉄平(なとり・てっぺい)である。
ふたりは、ともにSRS-Fアドバンス(鈴鹿サーキット レーシングスクール フォーミュラ アドバンス)の卒業生。スカラシップを得てホンダの育成プログラムであるHFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)の一員として参戦している。
レースウィークの土曜日に誕生日を迎えて19歳になったばかりの角田は日本で開催されているFIA F4選手権の昨年のチャンピオン。昨年秋にヨーロッパで初めてF3のテストを行なった際に、実績あるドライバーに遜色ないタイムを出したその走りがレッドブルのモータースポーツアドバイザーであり若手育成のカギを握るヘルムート・マルコ博士の目に留まり、ヨーロッパで走らせるべきだと招聘された逸材だ。
そのためHFDPだけでなくレッドブルのサポートをも受けており、マシンはF1でお馴染みのレッドブルカラーとされている。