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誤審騒動で埋もれるのが惜しすぎる。
川崎vs.名古屋はJ史上屈指の名勝負。

posted2019/05/20 17:30

 
誤審騒動で埋もれるのが惜しすぎる。川崎vs.名古屋はJ史上屈指の名勝負。<Number Web> photograph by Getty Images

Jリーグには、世界に堂々と発信したいサッカーがある。川崎フロンターレと名古屋グランパスはそんな勝負を見せてくれたのだ。

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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Getty Images

 川崎フロンターレの中村憲剛と名古屋グランパスの風間八宏監督、ふたりが5月17日の対戦後、奇しくも同じ感想を口にした。

「本当にこういう中でやると、選手たちは成長していくんじゃないかって感じた」

 中村がそう振り返れば、風間監督も満足そうな表情をのぞかせた。

「こういう中でやっていくことで、選手ももっと良くなると感じました」

“こういう中”とは、技術を磨きに磨いた両チームが流麗なパスワークと苛烈なプレッシングを応酬し、互いの良さを引き出し合った90分のこと。

 それはまさに、エンターテインメントの頂上決戦、あるいは、技術の品評会……、いや、そんな陳腐なキャッチフレーズはどうでもよくて、とにかく、うまくて、速くて、鮮やかで、美しかった。

「サッカーって面白い」(憲剛)

「今日はサッカーを楽しんだ。改めてサッカーって面白いな、ってすごく思った」

 約1カ月間、負傷離脱していた中村にとって、この試合は復帰戦だったから、純粋にサッカーをやれる幸せを噛み締めていたのかもしれない。

 だが、そこには、別の想いも込められていたのではないか。復帰戦がこの試合でよかった、とでもいうような――。

 改めてつぶやいた「毎試合、これくらいだったらいいのにな」という言葉には、自チームに対する誇りと、名古屋に対する最大限の敬意が感じられた。

 試合を終え、川崎にも、名古屋にも、ああ、俺、このレベルではミスが多いな、と悔しい思いをした選手が、おそらく何人かいたはずだ。

 でも、その悔しさは、この両チームにおいて、伸びしろ以外の何物でもない。また翌日から、より丁寧に、より魂を込めて「止める・蹴る」に向き合えばいいのだから。

【次ページ】 名古屋の選手から漲る「自信」。

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